はじめのマイオピニオン - my opinion -
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「人新世」の意味するもの

 地球の歴史、取り分け生物の歴史を記録するとき、過去の地質に残された生物の特徴ごとに、いくつかの地質時代に区分されている。古い年代から先カンブリア時代、古生代、中生代、新生代に大きく区分され、それぞれが紀・世に細かく分かれている。

 例えば三葉虫が全盛期の古生代オルドビス紀、恐竜が跋扈した中生代ジュラ紀、哺乳類が出現した新生代第三紀、そして人類が出現した新生代第四紀などである。さらに第四紀は258万年前からの更新世、1万2000年前からの完新世に分かれる。

 そして最近、完新世の後の地質時代として「人新世」という区分が浮上している。その特徴は人類が農耕や灌漑によって地形を改変したり、経済活動によって温暖化を加速したり、核実験で放射性物質が急増したり、プラスチックゴミが大量に捨てられたりしたものだ。1830年の産業革命からという人もいれば、1945年の大戦後からという人もいて、まだ起点が定まっていない。

 新しい地質年代の作成に携わっているのが、国際地質科学連合という国際機関だ。そこには既に「人新世作業部会」が設置されている。新しい地質年代が加わることはありがたいことだが、その内容を聞くと、人類の負の部分が蓄積された地層のようで、あまりありがたくない思いだ。

 この新しい年代に少しでも明るい何かが付け加えられるよう、人類はもっと我慢して善行を行わなければならないのではないだろうか。

[ 2023.02.13 ]