我が国では都市部や地方を問わず、高齢者の孤独死や児童虐待が後を絶たない。地域には隈なく民生委員や児童委員の皆さんがいて、アンテナを高くして、異常がないかどうか、必死で見回りをしている。頭の下がる思いだが、現実にはなり手が少なくなって、充足率が満たないところも多く、また委員の皆さんの高年齢化が目立つようになった。個人情報保護の壁も存在する。
一方でこの穴を埋める動きが、少しづつ出てきた。生協の宅配車、新聞配達員、宅配業者、郵便局員など、戸別配布を専ら業としている人々の情報を集めて、あるいは横の連絡を取りながら、地域の安全を確保する試みだ。例えば新聞受けに新聞が溜まっているため、お年寄りが家の中で動けなくなったのではないかとか、子どもの泣き声がいつも聞こえるため、虐待が疑われるとか、貴重な情報を行政に伝達することが考えられる。
とりわけ全国に1万9000局ある郵便局(主に旧特定郵便局)は地域の拠点である。既に自治体業務の一部を担っている。いわゆるユニバーサル・サービスを展開する能力を持っている。競合する電子メールやSNS、宅配業に押されてはいるが、リアル(対面)のネットワークでは、郵便局は決して負けない。郵便局は既に自治体業務の一部を担っている。さらにここに防災関係グッズの備蓄を考える自治体が増えてきた。
地域の絆が強いところは犯罪も少なく、災害に強いと言われている。しかし自治会に加入する住民が減り始めて久しく、地域の絆は風前の灯火となってきた。私たちはこれに代わる役割を見守りネットワークという、新たな組織に委ねようとしている。大切に育てなければならない。