はじめのマイオピニオン - my opinion -
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ドーハの悲劇から奇跡へ

 1994年開催のアメリカワールドカップ・アジア最終予選が、カタールのドーハで開催された。初のワールドカップ本戦出場に王手をかかていた日本は最終第5節において、試合終了間際まで2-1でリードしていながら、ロスタイム残り数秒でイラク代表に同点ゴールを入れられ予選敗退した。これが「ドーハの悲劇」である。

 それから28年、今度は同じドーハで奇跡が起こった。カタールワールドカップEグループは、日本はじめドイツ、スペイン、コスタリカで構成された。ヨーロッパの最強2チームに挟まれ、下馬評では日本にとって最も厳しい組み合わせと言われた。コスタリカからは勝ち点3を取って、あと2カ国のどちらかと引き分けに持ち込めば、何とか決勝トーナメントに進めるのではと、予想していた。

 ところが大方の予想に反して、初戦のドイツに2対1の逆転勝利。大金星だった。これでコスタリカに勝てば決勝進出と勇んだが、今度はコスタリカに負けるという波乱。勝負はわからないものである。勝てるはずの相手の前にいつもの躍動感は感じられなかった。決勝進出に黄色信号が点灯した。

 後のないサムライブルーは、当たって砕けろの心境でスペイン戦に臨んだ。前半は早々に1点を献上したが、後半に入ると見違えるように肩巻きをとり戻し、あっ!という間に逆転してしまった。特に2点目を入れた田中碧選手に繋いだ三苫選手は、ゴールラインギリギリのボールを絶妙にトスした。ラインを切ったかどうかがVARで確認された。

 横から見た目にはボールがラインを割ったように見えるが、真上から見ると確かに1センチいや1ミリが、ライン上に残っているではないか!明らかにゴールは有効と判定されたが、まさに紙一重、八咫烏の神様が守ってくれたとしか思えない奇跡だ。

 今も興奮冷めやらぬ日本列島だが、選手たちは次のクロアチア戦に向けて頭を切り替えているはずだ。奇跡はそう何度も起こることはない。まさに本当に実力のついたサムライブルーとして、堂々と実力勝負を我々に見せて欲しい。

[ 2022.12.05 ]