はじめのマイオピニオン - my opinion -
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動き出したプラネタリー・ディフェンス・プロジェクト

太陽系の主に火星と木星の間に無数に存在する小惑星(ASTEROID)の中には、地球の軌道と交差するものもあり、稀ではあるが地球と衝突する可能性がある。最近の例は、2013年にロシアのチェリャビンスク市郊外に落下した、直径20mほどの小惑星(隕石)で、広い範囲でガラスが割れ、数百人が怪我をするという事態が起きた。

 さらに大きな規模となるとシベリアのツングースカに1908年落ちた直径100mの小惑星、幸い無人地帯に落ちたので人的被害はなかったが、東京都とほぼ同じ面積の針葉樹が薙ぎ倒された。6500万年前にはメキシコのユカタン半島に直径10kmの小惑星が衝突し、当日隆盛を誇っていた恐竜が絶滅した一因とも言われている。

 私は10数年前から、将来の小惑星衝突という災害から地球を守ることを目的とした「日本スペースガード協会」の会員になっているが、世界各国にも同趣旨の団体がある。小惑星衝突は滅多に起こらないが、起こった時は甚大な被害を地球に及ぼすため、地球に接近する小惑星を注意深く観測するばかりでなく、将来の衝突を回避する方法を議論、模索している。

 この度アメリカ航空宇宙局(NASA)は日本時間9月27日、NASAとジョンズ・ホプキンス大学が協働するミッション「DART(Double Asteroid Redirection Test)」の探査機が、ターゲットの小惑星へ衝突させることに成功したと発表した。この衝突により小惑星の軌道が僅かでも変化することを目指している。

 DART探査機は地球から1100万km離れた小惑星「ディディモス」(直径780m)とその衛星「ディモルフォス」(直径160m)からなる二重小惑星のうち、衛星であるディモルフォスをターゲットに定めた。軌道の僅かな変化でも長年にわたり公転を繰り返すうちに、大きくズレることが期待される。

 衝突回避の方法としてはこの他に、接近する小惑星を爆破したり、小惑星にロケットを付けて噴射したりするなどが考えられるが、破片が地球に注いだり費用が膨大だったりで、現実的な方法ではない。前者の方法を描いた『アルマゲドン』は、映画としてはヒットしたが、実際のところは極めて難しい。

 「杞憂」という言葉は、中国古代の杞の人が天が崩れ落ちて気はしないかと心配した逸話から出来た言葉で、心配する必要のないことをあれこれ心配することを言う。取り越し苦労をするなと言う意味だが、小惑星衝突は決して杞憂ではない。将来起こりうる大災害を回避するための「スペースガード」の取り組みのギアを入れ替え、「プラネタリー・ディフェンス」と名称変更しつつ、本格的に取り組まなければならない。

[ 2022.10.03 ]