先日岸田総理は国連総会の一般演説に臨み、「現在の国連は機能不全に陥っている。安保理改革を始めるべきだ。」と、珍しく語気を強めて訴えた。機能不全とは、ロシアのウクライナ侵攻などの行為を抗議する安保理決議に対して、常任理事国であるロシアが拒否権を発動して、採択されなかったことなどを指す。
国連安全保障理事会は、第二次世界大戦の勝者である米、英、仏、中国、ロシアの常任理事国と、2年ごとに半数づつ改選される10の非常任理事国とで構成される。日本はこの度、非常任理事国に選出され、来年1月から2年間その地位に就くこととなった。あまり知られていないが、日本が選出されたのは実に12回目で、世界の中でも最多記録である。
問題は、常任理事国が所有する拒否権(veto)である。東西冷戦時代は旧ソ連や米国が何度も拒否権を発動して、安保理決議がその度ごとに反故になった。冷戦終結後は拒否権が発動されない時期もあり、安保理の機能が果たせるかとも期待されたが、ロシアの野望により期待は打ち砕かれた。
2024年は国連改革、とりわけ安保理改革の節目の年とも言われている。この時をちょうど、日本は非常任理事国として迎えることとなる。これまで日本は常任理事国入りを目指して、ドイツ、インド、ブラジルとともに運動を展開して来たが、なかなか思うような成果は得られていない。今の5カ国が所有する拒否権を剥奪することは非現実的だが、常任理事国の数を増やして、多数決あるいは絶対多数で問題を処理することを目指している。
安保理改革の行く末を左右するのは、おそらく日本の頑張りにかかっている。あるいは今回がラストチャンスかもしれない。外務省ばかりでなく、オールJapanの気構えで対処しなければならない。