はじめのマイオピニオン - my opinion -
船田はじめが毎週月曜日に提言するメールマガジン。購読ご希望の方は下記フォームからお願いします。
お名前
メールアドレス
    配信停止申込
あらためて核兵器の不使用を

 あの太平洋戦争から77年、終戦を決めたポツダム宣言受諾、そして無条件降伏を早めたのは、広島と長崎に人類初めての原爆投下が一因であると言われる。戦後70年の節目にあるアメリカの世論調査では、この考え方に基づく投下肯定論がアメリカ国民の6割に達している。70年経ってもこれだけの多くの人々が肯定していることを知り、かなりショックを受けた。

 確かに終戦を早めて、更なる犠牲を生まなかった側面はあると理解するが、その効果に比して被害の甚大さは、明らかにバランスを欠いているのではないか。原爆は核分裂という極めて特殊な現象を起こすこと、爆風や爆発の威力は通常兵器の数千倍、数万倍にも達すること、さらには放射能遠被曝することにより、多くの人々が後遺症に悩まされ、被曝2世の人々まで苦しめ続けてきた事実は、原爆の非人道的な側面を如実に表している。

 核兵器をめぐる国際的な条約としては、現在ニューヨークで開催されている核不拡散条約(NPT)再検討会議と、核兵器禁止条約(TPNW)がある。NPT には日本も加盟しており、先日も岸田総理が核軍縮の透明性などを訴えた。唯一の被曝国としてリーダーシップを発揮できる立場にあり、具体的行動が求められている。TPNWは昨年ようやく発効した新しい条約だが、アメリカの核の傘のもとで安全保障がが保たれている日本は、まだ加盟していない。核保有国と非保有国との間の橋渡しをしたいと岸田総理は力説するが、説得力は乏しい。

 今年の広島平和記念式典には、国連のグテーレス事務総長が参加した。2016年5月にはバラク・オバマ氏が現役大統領として、初めて広島を訪れた。感動的な場面だった。一方でウクライナを侵略しているロシアは、核兵器の使用を仄めかしている。核使用のハードルが下がってきた危機感がある。

 今こそ核兵器の計り知れない被害の大きさや非人道的な側面を、より具体的に、出来る限り多くの人々に知らしめなければならない。今年のNPT検討会議で「長崎が最後の戦争被爆地になるように」と述べた田上長崎市長の思いを、我々は必ず実現しなければならない。

[ 2022.08.08 ]