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ロシアのISSからの撤退

 ロシアの宇宙機関ロスコスモスのユーリ・ボリソフ総裁は、先日プーチン大統領と面会して、ISS(国際宇宙ステーション)からの離脱を述べ、大統領も承認したと報じられた。その意向がまだアメリカNASAには正式に伝えられてないようだが、事実とすれば大変残念なことだ。

 ISSはNASA、ロスコスモス、JAXA、ESA(ヨーロッパ)、CSA(カナダ)の5つの宇宙機関が参加する、低軌道の宇宙実験モジュールプロジェクトであり、1998年からこれまでに、無重力下での生物生態や材料研究など、様々な画期的成果を生み出してきた。

 過去にはアメリカと旧ソ連の間で東西冷戦を背景とした、熾烈な宇宙開発競争を展開してきたが、ISSは米ロの共同作業という、冷戦終結後の新たな世界秩序を象徴するプロジェクトとしても、高く評価される取り組みである。

 また日本にとっても、毛利衛さんをはじめとしてこれまでに11人の宇宙飛行士を搭乗させ、宇宙開発の最前線で、日本の科学技術レベルの高さを披露するとともに、その進展を目指す絶好の機会を提供してくれている。

 ISSの運用は当初2024年までとされていたが、NASAは2030年まで延長したいとして、参加各国に賛同を呼びかけていた矢先に、ロシアからNOを突きつけられた格好となった。ロシアのウクライナ侵攻と、それに対抗した経済制裁の影響が及んだことは言うまでもない。

 ロシアの撤退は、冷戦後の新たな世界秩序を宇宙開発でも失うばかりか、ISSの実際の運用にも多大な影響を及ぼす。ロシアが主に担当してきたISS宇宙船の地上落下を防ぐための軌道制御を、どこかが肩代わりしなければならない。スペースシャトル退役後、宇宙飛行士を往還させる手段としてソユーズが活躍したが、スペースXのクルードラゴンの運用は始まったばかりだ。

 ISSは今後とも、宇宙開発の拠点として大きな役割を持ち続けなければならない。ロシアが撤退した後は、その他の参加機関が穴埋めをしなければならないが、JAXAの役割が更に重くなることを覚悟すべきであり、国としてのサポートもしっかり行わなければならない。

[ 2022.08.01 ]