はじめのマイオピニオン - my opinion -
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性的マイノリティへの理解

 私の5代前までの先祖は小さな社の神主だった。したがって一般の方々よりは神道や神社には親近感がある。神社は須く歴代の天皇家やそれに連なる方々、そして八百万の神を祀っている。そのため信仰はおおらかであり、異なるものへの寛容さや多様性への柔軟な姿勢は、本来の神社の姿ではなかろうか。

 ところが先日、国会議員も多数出席していた神道政治連盟の総会にて、ある小冊子が配られた。そこではまず選択的夫婦別氏制度や女性天皇問題が扱われた。私はいずれも賛意を示して来たが、国論を二分する重要なテーマであり、今後もあらゆる角度から議論を闘わせていかなければならない。

 一方同じ小冊子の中で、LGBTQ(性的マイノリティ)は「後天性の精神障害であり、治療よって治るものであり、治すものである」と、ある学者の論文が紹介されている。主催者側はあくまで参考に配布したというが、司会者からは「読んでおくように」と紹介されている。明らかにこのような考えを流布、宣伝する目的が感じられる。

 同性愛などの性的マイノリティは、WHOではもう30年以上前から、精神疾患ではないと断定され、多くの国々では同性愛者たちの人権を守るための、様々な立法措置を講じられて来た。また日本でも多くの自治体が、いわゆる「パートナーシップ制度」を導入して、彼ら、彼女らにとって生きやすい環境を提供し始めている。

 既に多くのマスコミからは、小冊子の内容や配布に対する批判の声が上がっているが、私も違和感を覚えている。いわば時計の針を30年、いやそれ以上戻すことと同じで、時代錯誤としか言いようがない。居合わせた国会議員からの明確な反論が聞けなかったことも、残念でならない。

 今国連を中心としてSDGsの運動が盛んになっているが、その中核となる概念はまさに「多様性」の尊重である。LGBTQを病気であると一刀両断に決めつけてしまうような人々に、SDGsを語る資格はない。

[ 2022.07.04 ]