はじめのマイオピニオン - my opinion -
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線状降水帯予報始まる

 今から7年前の2015年9月9日、関東北部を中心として長時間にわたり、ほぼ同じところに豪雨が降り続いた。温帯低気圧と台風17号の間にあるエリアでは、長時間にわたり雨雲レーダーの赤い表示が、東京から真北に向かって細長く存在し、一晩で9月1ヶ月分の雨量に比肩する記録的豪雨となった。

 この災害で80名という尊い命が奪われたが、特に鬼怒川の下流域の常総市周辺では、堤防が決壊して濁流が街中に流れ込んだ。栃木に降った雨の相当部分が下流域の茨城に流れて溢れたことは、誠に申し訳ない気持ちである。もちろん県内でも鹿沼市の黒川や、宇都宮市の姿川なども暴れ川と化した。

 さらに2019年10月12日、台風19号に伴う大雨は、さらに広範囲で大きな被害をもたらし、104名もの尊い命が奪われた。千曲川が氾濫して北陸新幹線車両が多数水没、栃木県でも秋山川、思川の氾濫、宇都宮では70数年ぶりに田川が越水し、広範囲にさ床上・床下浸水に見舞われた。

 一方で群馬県の八ッ場ダムは、完成間近で貯水力か機能したため、利根川水系では大きな被害は少なかった。あらためて治水ダムの有用性が認識された。田川ではその後治水工事の一環として、河道の掘削で時間当たり流量を増やしたり、耕作地に一時的に雨水を貯留する「田んぼダム」遠設定して、次の大雨に備えようとしている。

 ところで前述のいずれのケースも、いわゆる「線状降水帯」が発生していたと見られている。温度差のある湿った大気同士がぶつかり合って前線を発生させ、それが同じところに留まることにより、同じところで長時間豪雨にさらされる現象だ。この現象を予測測出来れば、被害を最小限にくいとどめる可能性があるが、これまでは予測は困難とされてきた。

 しかし最近は観測精度の向上と、AIの力を借りた解析技術の進歩によって、「関東地域」などブロックごとに半日後に発生する可能性を発表するという。現在ではまだ確率は4分の1ということなので、まだまだの感は否めないが、使い方や受け止め方によっては、有力な情報になりうる。今後も精度を上げ、経験を積んで、豪雨災害防止の切り札となることを祈っている。

[ 2022.06.27 ]