はじめのマイオピニオン - my opinion -
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レジリエンスを高めよう

 去る3月16日深夜、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震が発生し、最大震度6強を記録した。福島・宮城両県を中心として、死者3名、負傷者100数十名となった。あらためてお見舞い申し上げなければならない。この影響で家屋や塀の一部破損、道路のひび割れ、崖崩れなどが発生し、東北新幹線の1編成が白石蔵王駅近辺で脱線した。

 同じ震源域では昨年2月にもマグニチュード7.3の地震も発生しており、いずれも2011年3月11日の東日本大震災の余震と思われる。あれから10年が過ぎても余震が頻発するのは考えにくいことだが、悠久の地殻変動の中ではほんの一瞬の出来事なのだろうか。「災害は忘れた頃にやって来る」と、いにしえから伝わる教訓だが、今回は「忘れないうちにやって来た」感があり、あらためて防災への備えの大切さを痛感した。

 停電も広範囲に及び、東電管内では一時208万戸にも達する大規模なものだった。地震の揺れで管内の火力発電所が一つ、発電を停止したためである。供給不足で周波数が不安定になって、広範囲にブラックアウトするのを塞ぐための、予防的停電だったようだ。数年前の胆振地方の強い地震が、北海道全域のブラックアウトを引き起こしたような事態を避けるためである。

 地震により走行中の新幹線が脱線したのは、20年ほど前の中越地震の際の、上越新幹線以来である。今回の新幹線は、本震の2分前にあった余震の緊急速報によってかなり減速しており、大惨事に至らなかったのは不幸中の幸いだった。さらにJR東日本としては、上越新幹線事故を教訓として、たとえ脱線しても大きく逸脱して壁面に激突しないように、車両の下にL字型の金属をストッパーとして装着して来たという。

 災害が起きても被害を出来る限り拡大させないための工夫は、今回のような予防的な停電や新幹線の逸脱防止装置に限らず、様々な分野で進められている。今後も災害は増えこそすれ、減ることはない。災害に対する耐力=レジリエンスを、我々はあらゆる分野で進めていかなければならない。

[ 2022.03.21 ]