はじめのマイオピニオン - my opinion -
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AIは人間を幸せにするか?

 最近はコロナ騒ぎの影響もあり、AI(人工知能)や量子コンピュータの進展があまり聞かれなくなっていたが、あるコンピュータゲームでAIがプロのゲーマーを負かしたとのニュースが飛び込んできた。瞬時に多数の選択肢から意思決定しなければならない自動車レースゲームで、AI自身が対戦を繰り返して実力を上げる仕組みを、ソニーグループが独自に開発したという。ゲームだけでなくロボット開発にも応用できるようだ。 各国の自動車メーカーなどが競争を激化させている、自動運転にも大きな推進力となりそうだ。

 しかし一方で、AIをどこまで政策決定や意思決定に任せるべきか、果てのない議論が続いている。大企業の中には経営方針の決定の一部をAIを関与させることが試みられているが、今後のAIの能力向上に合わせて、どこまで決定に関与させるべきか、社内で真剣に議論しているところもあるようだ。AI研究者の間では、AIが普及すると人間の記憶力や思考力が弱まるという説が有力だ。AIに何でもかんでも任せてしまえば楽にはなるだろうが、果たしてこれで良いのだろうか。

 漫画の巨匠・手塚治虫さんが描いた『火の鳥』には、未来の某国が全ての政策決定をAI搭載のコンピュータに委ねてしまい、同様にAIに牛耳られた他国との間で言い争いとなる。終いには核戦争が起こして、ともに壊滅するという恐ろしい未来図が書かれている。あくまでSFの世界の出来事だが、AIの扱い方を間違えると大変なことが起こると、手塚治虫は警鐘を鳴らしていたのではないか。

 また最近では様々な兵器にAIを搭載することによって、その破壊能力、殺傷能力を向上させる研究も進められ、一部は実用化されてしまっている。AIの応用や活用には、十分な配慮や厳しい倫理観が必要となってくる。

 我々はAIや量子の技術開発と同時に、人間の意思決定にAIをどこまで関与させるか、どこからは関与させないか、基本方針をあらかじめ決めておく必要がある。国際的な取り決めを行い、各国とも足並みを揃えなければならない。これを決めるのに、AIを関与させてはならないことは、言うまでもないが。

[ 2022.02.14 ]