はじめのマイオピニオン - my opinion -
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トンガ大噴火について

 1月15日のトンガ王国沖の大規模噴火から1週間が経ったが、現地の被害状況は未だその全容が分かっていない。トンガは首都ヌクアロファのあるトンガタプ島だけでなく、171もの島々から成り立っており、人の住む島だけでも45もあるという。このように多くの離島を抱えていることや、国際電話やインターネットなどの通信回線がまだ復旧していないことも、情報不足の原因だ。

 トンガからは、かつて2人の高校生が作新学院にラグビー留学していた。1人はその後日本に留まり、地元のラグビーチームでプレーしているようだが、もう1人はトンガに帰国して仕事をしている。安否や被災の様子がわからずに心配している。学校としても支援活動を始めたい。

 オーストラリアやニュージーランドをはじめ、欧米各国が救援に動き出しているが、日本も遅れまいとして、自衛隊、JICAを中心に飲料水などの救援物資を送りはじめた。トンガは南太平洋の国々の中でも親日的な国だが、中国も進出を目論む地域であり、気をつけなければならない。また今後も噴火が続く可能性があるため、一時的な救援に留まらず、中長期的な復興策や災害防止策をトンガ政府と協議して、継続的に支援していくことが望まれる。

 ところでこの大噴火は、思わぬところで波紋を広げている。噴火の影響で日本にも奇妙な津波が到達したことだ。通常、津波は地震により海底が隆起や沈降の変動を起こして発生する。東日本大震災の際の大津波もこの典型だ。噴火による津波としては、雲仙岳が噴火で山体崩壊を起こし、その波が有明海を挟んだ熊本に甚大な被害を与えた例がある。「島原大変、肥後迷惑」との言い伝えになっている。

 今回の津波では南西諸島や三陸海岸で最大1.2メートルを観測したが、予想より2時間も早く到達してしまった。また日本に来る手前の津波の観測値が僅かだったのに、日本やペルー、アメリカ西海岸では、かなり大きい津波になった。この奇妙な津波の原因は、地震や噴火による地殻変動というよりも、大噴火がもたらした気圧の変動ではないかと、気象庁や学者は考えているようだ。

 実際に噴火のあった夜には、日本各地で瞬間的に2ヘクトパスカル程度の気圧の変化が観測されているが、明らかにトンガの噴火による「空振」という現象だ。この気圧変動により海面が押され、その反発で海面が膨れ、津波を起こしたという説である。まだまだ解明されてないことであり、今後の研究が待たれる。

 今回のトンガ沖噴火は、19世紀最大のクラカタウ火山(インドネシア)、20世紀最大のピナツボ火山(フィリピン)には及ばないと言われるが、さらに大規模噴火する可能性があるという。また過去の大噴火の際は、噴煙(エアロゾル)が地球全体を覆って太陽の光を遮り、冷夏や多雨を誘発して世界的な不作や飢饉を招いた。今回もその懸念がある。注意深く観測を続けなければならない。

[ 2022.01.24 ]