はじめのマイオピニオン - my opinion -
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メガソーラーが自然環境を破壊する?

 東日本大震災により発生した東電福島第一原発事故は、我が国の原発政策に深刻なダメージと不信感を与えた。一方で地球温暖化の主因とされるCO2排出量の削減が、パリ協定により各国に義務付けられ、再生可能エネルギーの重要度が増した。さらに世界の潮流に遅れまいと、菅総理が「2050年カーボンニュートラル」を高々と宣言したことにより、その重要度はさらに増すこととなった。

 再生可能エネルギーとは一般的に太陽光発電、風力発電、地熱発電、さらには小水力やバイオマスなどがある。地熱は開発に大きな時間と費用がかかり、小水力やバイオマスはまだまだ発電量が足りない。やはり横綱は太陽光と風力である。東北や九州ではメガソーラー基地の建設が盛んで、場所によっては過密になりつつある。

 太陽光発電は発電量にムラがある上、広い敷地を必要としている。1000kwの発電量を得るために、約2haが必要となる。原発1基の平均的な発電量が100万kwなので、これを太陽光パネルで代替するとなると、約2000haすなわち4.4km四方の広大な面積が必要になるという計算だ。メガソーラー基地の建設により、森林が広く伐採されて自然環境を侵食するだけでなく、洪水や土石流の原因ともなりかねないのだ。

 風力発電についてはようやく洋上建設が法律上可能となったが、まだ主流は地上設置である。しかもその多くは山の尾根を切り開く場合が多く、メガソーラー同様、自然環境への負荷が大きい。

 東北地方ではメガソーラー基地や風力発電サイトの建設が非常に多くなっており、1000kW以上の能力を持った施設数をカウントしても、以下のような数字になる。
青森県(太陽光:18、風力:33、ゴルフ場:16)
岩手県(太陽光:166、風力:10、ゴルフ場:26)
宮城県(太陽光:351、風力8、ゴルフ場:39)
秋田県(太陽光:70、風力:80、ゴルフ場:17)
山形県(太陽光:64、風力:24、ゴルフ場:16)
福島県(太陽光:398、風力34、ゴルフ場:56)

 各県のゴルフ場数を添付したのは、平均的なゴルフ場の面積とメガソーラー基地の面積は似通っており、実際にゴルフ場を転用して基地にする例が少なくないからである。大体においてメガソーラー基地はゴルフ場より1ケタ多いのが現状である。

 再生可能エネルギーの増産は国策として押し進めなければならないが、一方で森林伐採で自然が破壊され、災害の発生を招来することも留意しなければならない。現在、民間事業者が各自治体に開発認可を申請した場合、書類上の大きな不備がない限り、受け付けられる状況にある。一部の自治体では条例により、開発に条件をつけるケースがあるが、まだまだ少数派である。

 大きな流れは止められないが、無秩序な開発とそれによる自然破壊を抑えるためには、何らかの法律が必要なのではないか。地球環境を守るための再生可能エネルギーの増産が、かえって環境破壊を引き起こすという矛盾は、何としても避けなければならない。

[ 2021.04.12 ]