はじめのマイオピニオン - my opinion -
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国民体育大会の開催を巡って

 オリンピック・パラリンピックは4年に一度行われるが、今年の東京大会は残念ながらコロナの影響で、1年延長された。一方国民体育大会は毎年各県の持ち回りで昭和21年から開催され、現在は2巡目に入っている。

 国民の健康増進や競技力向上は言うまでもなく、かつては戦災からの復興、そして最近では地域の活性化へと目標は変化している。天皇・皇后両陛下の行幸啓が伴う一方、お金がかかり過ぎるとの批判もあり、最近は簡素な大会運営にも配慮されている。

 その国体が今年は鹿児島県の番だったが、コロナの影響で各地で予選が出来ず、当時の三反園鹿児島県知事が延期を決断した。一年延期となると今後開催が予定されている全ての開催県が、何らかの影響を被ることになる。数十億円とも言われる新たな追加費用のほか、強化選手の育成にも影響が及ぶ。特に少年の部で出場するはずだった高校生が、一年ずれることにより、成年の部からの出場を余儀なくされ、出られなくなる選手も出てくるという悲劇もあるだろう。

 そこで現在、後催県の影響を出来るだけ回避するため、鹿児島開催を3年後に延期し、来年の三重、再来年の栃木を予定通り開催する方向で最終調整が行われている。もちろん鹿児島県にとっては大変な影響があるが、準備がほぼ整っている2県のために、とても有難い配慮をしていただいたことになる。

 しかしその後に開催が決まっていた佐賀県、さらに滋賀県はそれぞれ一年遅れるため、その了解を得なければならない。そうした中、佐賀と鹿児島はかつての「薩長土肥」の仲間として助け合おうという美談も生まれている。滋賀は態度を保留しているとのことだか、それもやむを得ないことと思う。

 以上のような調整作業はまだ予断を許さない状況にあるが、仮にそのように決定が行われた場合は、三重と栃木は鹿児島や他の後催県にきちんと感謝すべきである。そしてこれまで以上に、国体成功という結果で恩返しすべきである。

 コロナ禍は国体開催にも深刻な影響を与えているが、一方で予期せぬ地域間の協力や理解の増進を図ることにも繋がったのではないか。コロナ禍に悲観するばかりでなく、新たな絆を産むことも大切にしなければならない。

[ 2020.08.17 ]