3年ほど前に上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』という映画がヒットしたが、今は「教育を止めるな!」というフレーズを世に広めたい。
いうまでもなく新型コロナウイルス感染症の拡がりで、ほとんどの学校が数ヶ月の休校を余儀なくされ、緊急事態宣言解除後ようやく通常授業に戻りつつある。授業時間不足を解消するために、知事や総理官邸からは9月入学説が提起されたが、与党内の議論の結果、先送りすることがほぼ決まった。
9月入学となると30本以上の法律改正が必要となり、会計年度の見直しや就職手続きの変更、各種大会の変更、学校や家計負担の増大など、社会システムに甚大な影響を与えるからだ。3年や5年のタームで慎重に検討すべきテーマであり、コロナショックのこの時にやるべきものではない。
また「9月入学」と言った途端に、この数ヶ月間、慣れないオンライン授業や課題学習を必死に実施してきた教師や児童生徒の努力が無駄になるばかりか、子どもたちがさらに学校から放って置かれかねない。
しかし授業時間の不足は大きく、1学期の教育を成り立たせるためには、対面授業とオンライン授業を組み合わせたり、夏休みを大幅に短縮したり、入試や今年度末の行事を少し後ろ倒しする必要があるのではないか。
コロナ禍をきっかけとして本格的に取り組みが始まったオンライン授業をはじめとするICT教育は、コロナが収まったからといって、やめてしまうべきではない。対面では出来ないオンラインならではのメリットを生かすべきだし、コロナの第2波、第3波が来た時は教育を止めるのではなく、即オンライン授業に切り替えて教育を継続することが出来るのだ。
コロナ後の「新しい生活様式」を学校に問いかけるならば、対面授業とオンライン授業の適切な組み合わせ、すなわち「ベストミックス」とか「ハイブリッド」教育の導入と言っても良いのではないか。ただしこれを実現するには、学校・家庭のICT環境の整備は勿論のこと、教員のスキルアップ、オンライン授業を正規のものと認め、出欠や評価にも反映させると言った制度面の改良も必要だ。