全国に出されていた緊急事態宣言は、未だコロナ禍の終息が見えないため、5月31日まで延長されることが決まった。しかし地方においては感染の拡大が一息ついている現状のため、特定警戒区域以外では5月7日あるいは11日から、休業要請の一部または全部の解除に移行しつつある。しかし移行が行き過ぎるとぶり返しの恐れがあるため、段階的に解除するなど慎重な対応が求められる。
長期間の外出自粛や臨時休業により、あらゆる職種の企業・個人が極めて厳しい状況に置かれている。国としては雇用調整助成金、持続化給付金、特別定額給付金、家賃補助制度など、様々な支援メニューを揃えて来たが、絶対額が少ないとか、手続きが煩雑で使いにくいなどのクレームが多く寄せられている。迅速に改善しなければならない。一次補正予算は成立したばかりだが、早くも二次補正予算の必要性が議論され始めている。一次より相当多額の財政出動をしなければならない。
一方新型コロナウイルスに直接作用するワクチンは未だ開発されてないが、既存薬の中でも抗インフルエンザ薬のアビガンや、抗エボラ出血熱薬のレムデシビルの投与による効果が期待出来るとして、後者は5月7日に国内承認され、前者もまもなく承認される見込みである。しかし両者とも患者によって効く効かないがあったり、強い副作用があったりで、特効薬とはなり得ない。強力なワクチン開発まで1、2年かかるとも言われており、それまでは何とか持ちこたえなければならない。
医療専門家の意見によると、今回のコロナウイルス感染においても、過去の事例と同様に第2波、第3波が起こりうるという。それが今年の秋や冬とも言われているが、これに対する備えもきちんと整えておかなければならない。
現在感染症と闘っている医療現場では、防護服やマスク、フェイスシールド、医療用手袋など、いわゆるPPE(個人防護具)が不足しがちであり、政府はこれらの生産と供給作業を、民間の力も借りながら必死に対応している。また地域ごとにアンバランスにならないよう、情報のネットワークも構築した。しかし同時に将来の第2波に向けて、一定量のPPEをストックしておくことが不可欠である。
教育の分野では長引く休校措置により、授業時間数が足りなくなっている。ICTを駆使したオンライン授業などで、これを補うことが急務である。しかしICT環境に恵まれない家庭もあり、きめ細かい支援策を取らなければならない。
一旦はコロナが収まり、学校が再開されるだろうが、第2波、第3波が襲ってきた時はまた休校せざるを得なくなる。現場が戸惑わないためにも、オンラインによる遠隔教育と対面による従来型教育を並行して走らせる「ハイブリッド型教育」に早急に移行すべきである。