はじめのマイオピニオン - my opinion -
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一斉休校という感染症対策について

 新型コロナウイルス感染症の猛威は、わが国においても深刻になって来た。既に水際作戦を破り、感染ルートの分からない市中感染という状況が、地域的に起こりつつある。今後2週間が拡大か収束かの分かれ目であると、政府からも医療従事者からも同じ見立てが発表された。

 そうした中、2月26日にはイベントの自粛、27日には小中高校の春休みまでの一斉休校要請が、安倍総理から唐突に発令された。それだけ我が国が置かれた現状が、「国難」であると言っても言い過ぎではないのだろう。幼稚園から大学を抱える私としては、あまりに突然で余裕がなく、あたふたするばかりであったが、感染拡大を防ぐ有効な一手段と諦めて従わざるを得なかった。

 さはさりながら、今回の緊急措置に対して、私は問題点を2つ指摘しなければならない。

 一つは、なぜ安倍総理は当初記者会見という形を取らなかったのかということだ。政府の検討会議での挨拶を、マスコミに流させるだけだった。その後2日経ってから会見をしたが、このタイムラグでかなり混乱を引き起こした。かつての衆議院解散や政策の重要な変更の時には、必ず会見という形を取っていたはずだ。国民がどう受け取るかは別として、総理としての意気込みや責任感を当初から表明していれば、もう少しスムーズに受け止められていたはずである。

 もう一つは、様々な人々への影響を考えずに、見切り発車の感が強いということだ。学校を一斉に休校とすると、小学校低学年で実施している「学童保育」、幼稚園の「預かり保育」が出来なくなる。これでは仕事をしている母親が困ってしまう。うちの学校ではそういうお子さんには朝から預かることを決めた。しかしそれが出来ない学校も少なくないことから、いきなり人手不足が発生する。明らかに配慮不足である。

 この度の感染症問題はまさに未曾有の出来事であり、未曾有の措置でしか対処できないのは当然である。しかし、だからこそ責任はより明確にすべきであり、その影響をきめ細かく検討すべきではなかったか?危機管理の観点からは、課題の多い今回の措置である。

[ 2020.03.02 ]