1.環境問題からのブレイクスルー
令和2年の正月は、比較的穏やかな天候に恵まれた。しかし昨年は東日本の各地で大規模な災害が発生し、その復旧にはなお時間がかかる。一昨年には西日本で未曾有の水害が発生しており、明らかに過去とは違う気候変動が進んでいる。その多くは人間活動により発生する二酸化炭素=温暖化ガスの濃度が高まり、地球全体の平均気温が産業革命前より1℃上昇したためである。
世界各国は2050年で1.5℃まで上昇を抑えるため、毎年のCOPにおいて議論を続けている。残念なことに、最大の排出国アメリカが離脱を宣言し、かつての優等生日本が大震災以後、世界から批判を浴びている。温暖化ガスを多く発生させる石炭火力依存から、日本は真剣に脱出しなければならない。
2.ポピュリズムから国民を守れ
ポピュリズムとは「複雑な政治的争点を単純化して、いたずらに民衆の人気取りに終始し、真の政治的解決を回避するもの」と定義付けられる。その国の価値観とか理想、国民の規範を捨て去り、欲望や我がままに支配される政治は、やがて国の崩壊を招くことは明らかだ。
残念ながらトランプ政権のアメリカや、移民を嫌い財政規律を嫌うヨーロッパでは、ポピュリズムの波が押し寄せて来ている。またこの状態を一層悪くしているのは、フェイクニュースなど偽の情報を流したり、正しい情報を伝えない為政者の姿勢である。昨年来、日本でもこの傾向が見受けられるのは由々しきことである。ポピュリズムから日本を守らなければならない。
3.若者に「人間力」を
日本は世界に例のない少子高齢化現象の影響で、いまや毎年50万人以上の人口減少に苛まれている。その数は今後さらに大きくなるが、社会保障制度の維持のためにはGDPを減らすわけにはいかない。元気な高齢者に現役で働いてもらうのも大切だが、若年者がより生産的に働いてもらうことが重要だ。
AIやIOTなどデジタル社会の担い手になることはもちろん、非正規から正規雇用への転換、主権者としての行動や賢い消費者として活動するための教育、新たな価値やモノを創造する力、すなわち「人間力」を身につけてもらわなければならない。
2021年からスタートする大学共通テストでは、若者の思考力や表現力を試すための記述式テストの導入されようとしたが、挫折してしまったことは残念だ。しかしこれはとても重要な力であり、すべての教育段階で重要視されるべきである。最近プログラミング教育が盛んに取り上げられていて、論理的思考力を養うには効果的だが、より広範で多様な「人間力」を増す教育プログラムが必要になるだろう。