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大学共通テストの見直し

 令和3年度からこれまでの大学入試センター試験に代わり、共通テストが導入されることとなっていた。今の高校2年生からその対象になるのだが、根幹から見直しが迫られている。

 共通テストの目玉であった英語4技能、すなわち「読む、聴く、書く、話す」のうち、「書く、話す」の2技能について、民間の試験を活用することになっていたが、その試験登録の直前の11月1日に、突然延期の決断を萩生田文部科学大臣が発表した。

 その理由は「身の丈にあった対応を」という大臣ご本人の失言もあったが、全国で容易にアクセスできる体制が整っていなかったり、受験料が高すぎたりして、試験の公平性や公正性が保てないことが挙げられていた。早くても2024年までは延期されるという。

 またもう一つの目玉であった国語と数学の一部記述式問題の導入についても、20日という短時間に数十万人の解答を正確に採点するには、心許ないアルバイト対応などが問題となって、先日早急な導入を断念するという発表が文科大臣からあった。

 英語4技能の民間試験導入は、生きた英語を高校教育に導入するという目的があり、また記述式問題で思考力と表現力を試すという目的があった。いずれも現在から将来に向けて不可欠な能力であり、それが目指すところは大変重要な教育目標であった。

 しかしこれらを測る手段が大変曖昧であったため、日本の教育における取り組みが10年近く遅れることとなったことは、とても残念である。それ以上に大学受験を控える高校2年生に心配と迷惑をかけたことについては、大いに反省しなければならない。文科大臣の進退にも関わる重大問題ではないだろうか。

 斯くなる上は、国公私立大学が自らの2次試験において、思考力と表現力を試す試験内容を整えてもらうしかないのだが、反応は極めて鈍いのが現状だ。先日発表されたPISAの国際比較では、日本の「読解力」がかつての上位から15位にまで下がってしまったという。

 将来の日本を背負って立つ若者の真の学力が、今後低下することのないように、教育関係者のみならず国民皆が目を光らせることが望まれる。

[ 2019.12.23 ]