去る9月20日から始まったラグビー・ワールドカップ2019日本大会は、今大変な盛り上がりを見せている。開幕前は、来年の東京オリパラの陰に隠れてしまうのではないかとの憶測もあったが、プレイベントを遥かに超える盛況ぶりで、嬉しい誤算である。
その理由は言うまでもなく、日本代表チームの大活躍であり、優勝候補と目される世界ランク2位のアイルランドに、19-12で逆転勝ちしたためである。世界中のマスコミも大騒ぎとなり、何でも賭けの対象にするロンドンのブックメーカーでは、日本勝利に10倍のオッズだったようだ。因みに日本優勝のオッズは126倍だが、多分これは大幅に下がっていると思う。
日本代表チームは4年前のワールドカップ・イングランド大会でも、当時世界ランク3位の強豪、南アフリカに34-32で勝利するという大金星を挙げている。開催都市がブライトンだったので、「ブライトンの奇跡」とも言われた。あの時は確かに「奇跡」だったかも知れないが、今回は「もう奇跡とは言わせない」「実力だ」とラグビーファンは胸を張っている。
確かにラグビーにあまり詳しくない私でも、今回の日本チームは明らかに以前とは違って見える。パスの精度や速さは見ていても小気味良いし、スクラムの力強さは実に頼もしい限りだ。さらに素晴らしいことは、試合中はもとより、試合前後の選手一人ひとりのマナーの良さ、相手チームに対するリスペクトの態度である。まさに「ジャパンクール」そのものと言っても言い過ぎではないだろう。
今回のワールドカップも、開幕の9月20日から決勝の11月2日まで、40日もかかる長丁場だ。もう少しコンパクトに出来ないものかと思ったが、やはり一戦一戦の体力消耗が半端でなく、適度なインターバルが必要なようだ。また全国12都市14会場を巡るため、あちこちで交流の輪が広がることが期待できる。日本の文化、とりわけ「ジャパンクール」に触れてもらう絶好の機会だろう。
とにかくここまできたら、日本チームの決勝トーナメント進出、そして優勝まで夢見ることは、決して「夢」ではなくなるのではないか。