はじめのマイオピニオン - my opinion -
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いまアメリカで起きていること

 8月3日午前10時半すぎテキサス州エルパソ市のウォルマート店内で、21歳の男が無差別に銃を乱射して22人が死亡、26人が負傷した。メキシコ系移民を標的にしたヘイトクライムと見られている。また8月4日(日)午前1時すぎ、オハイオ州デイトン市の繁華街で、24歳の男がやはり銃を乱射して9人が死亡、27人が負傷した。

 全米ではこのような事件が毎日のようにどこかで発生し、2019年に入ってこれまで銃の無差別乱射で犠牲となった人は62名である。また銃にまつわる事件総数は33,236件、銃による死者数は8,795人、負傷者数は17,480人と膨大な数に及んでいる。

 アメリカは開拓時代以来、銃によって成り立つ社会であり、多くの国民はそれを容認して来た。しかしそれは安定した社会秩序が守られていることが前提であり、昨今の乱射事件の多発により、その前提が崩れかけていることは、誰が見ても明らかだ。

 かつてのオバマ大統領は銃規制に積極的で、そのための大統領令を何回か準備したが、議会の共和党や全米ライフル協会などの圧力団体に屈してしまった。しかし今回は腰砕けにならず、とことん銃規制を追求してもらいたいものだ。

 さらに今回の銃乱射の背景には、トランプ大統領の度重なる人種差別発言や乱暴な政治手法があるとも指摘されている。中国に仕掛けた際限のない貿易戦争や、イラン核合意からの一方的な離脱も、身勝手な振る舞いを容認するような風潮を生み出しているのかも知れない。

 世界の秩序を作り出して来たアメリカが、自らそれを壊し始めている現状、アメリカ社会の不安定が世界の不安定に拡散しつつある現状を、トランプ大統領自身がはっきりと自覚しなければならない。そうでなければアメリカの誰かが、この暴走を止めなければならない。

[ 2019.08.12 ]