平成の世もあと1ヶ月となり、さらに本日新元号が発表され、益々カウントダウンの雰囲気が高まってきた。「令和」という新元号にはこれからお付き合いが始まるが、「平成」が発表された31年前も、平安時代を想起するような古めかしい名前だなどと、少しの戸惑いがあった。しかしいまは立派に定着し、名残惜しさすら感じるほどだ。やがて「令和」にも慣れていくに違いない。
明治、大正、昭和に比べて、平成の世は初めて戦争がなかった時代である。このことは現天皇陛下も会見において述懐されている。しかし一方で阪神淡路大震災、東日本大震災はじめ、災害が多かった時代になってしまった。陛下はその度に何度となく被災地で直接避難民を励まされ、その光景が我々の脳裏に焼きついている。
「令和」の世においても、平成と同様に戦争のない時代であるように、国政の道を過たないようにしなければならず、国民皆がしっかりと心がまえをしなければならない。自然災害は人知を超えたものかも知れないが、起こらないことをひたすら祈るしかない。一方で備えをしっかり行い、万一発生しても皆で助け合い、支え合って被害を最小限に食い止めることは不可能ではない。
いま我が国は世界の中でも少子高齢化の最先端を突き進み、人口減少という荒波に揉まれようとしている。地方創生の掛け声にも拘らず、地方の活力の減退と過疎化に悩まされている。国民の間で格差が拡大しているとも言われている。かつては一流と言われた我が国の教育や研究開発の水準も、次第に低下しつつある。
暗くなるような話ばかりだが、新天皇と新元号のもとで、我々は過去にとらわれない大胆な処方箋を書き、勇気と忍耐を持ってそれを実行に移さなければならない。この御代替わりという厳粛な節目を、前に進む推進力にしたいものだ。