はじめのマイオピニオン - my opinion -
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はやぶさ2の快挙

 2月22日(なぜか猫の日)午前8時前、地球から3億キロ離れた小惑星リュウグウに、探査機はやぶさ2が着陸に成功した。着陸といっても数秒間地面に接したかと思うと、すぐ離れるという「タッチダウン」のイメージである。直径900メートルほどの天体で重力が僅かなため、地表にとどまると姿勢制御が難しいからだ。

 しかしその僅かの間に弾丸を発射して、舞い上がった小石をカプセルに捕獲する作業も行ったようだ。この後タッチダウンは2回ほど挑戦するが、実際にサンプルが取れていたかどうかは、来年12月に地球に帰還してみないと分からない。関係者はワクワクドキドキだろう。

 サンプルの中にアミノ酸や水が含まれていると、我々地球の生命の根源を見つけたことになるのではと、大きな期待が寄せられている。科学的に素晴らしい成果につながる。加えて高い精度で探査機を操作したリモートセンシング技術や、自動制御のシステムは、我々の生活にも応用可能である。

 今アメリカや中国は、日本の10倍以上のお金をつぎ込んで、科学技術開発に躍起になっている。それなりの成果も出ているけれど、日本は少ない予算でも今回のような、世界一のパフォーマンスが出来ることを内外に示したことは、大きな意義がある。

 前型機はやぶさが、故障に故障を重ねつつも、かろうじて地球に帰還したエピソードは、書物にも映画にもなり、一世を風靡した。今回はそのようなエピソードが起きないように、改良に改良を重ねているので、あまり面白くないストーリーになるだろう。しかしそれを何倍も凌ぐ面白い科学的成果が得られるはずである。最近少し元気のない我が国の科学技術分野に、元気をもたらしてくれることは間違いない。

[ 2019.02.25 ]