はじめのマイオピニオン - my opinion -
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本庶佑先生、遂にノーベル賞受賞

 去る10月1日、今年のノーベル賞の最初の受賞者が、カロリンスカ研究所から発表された。この金的を射止めたのは京都大学特別教授の本庶佑先生で、日本人としては26人目の受賞である。そのうちの医学生理学賞は5人目となる。かつては物理学や化学が日本の得意分野であったが、最近は医学生理学が台頭して来ている。私は個人的に本庶先生と親交があるが、待ちに待った受賞であり、心からの喝采を送った。

 我々の身体にある免疫システムは、体内に入り込んだウイルスや異物を攻撃して、身体を守ってくれる。ところががん細胞は免疫細胞の表面にあるPD-1というタンパク質と結合して、免疫に「私は敵ではない、仲間だ」と思わせ、免疫が働かなくなることを本庶先生は突き止めた。したがって免疫細胞にガン細胞を攻撃させるためには、このPD-1の動きを止めてしまえば良いという理屈である。

 この発想を元に製薬会社と共同で「オプジーボ」という薬を作り、まずは皮膚がんの治験を行い、既に多くの人々に使われている。その効果は絶大でより多くのがん患者さんに使われることが期待されている。ただ日本の場合、がんの種類ごとに治験・臨床を行わなければならず、また保険適用できるケースが限られているため、恩恵を受ける人はまだ一部に限られている。

 PD-1を除外することにより免疫を働かせることは、理論的にはどんな種類のがん細胞にも効くということだ。しかし現在は治験・認証が間に合わず、保険適用も後追いをしている状況だ。またオプジーボにしても全てのがんに効くというものではなく、医師と患者のコミュニケーションも欠かせない。しかしながらこの度のノーベル賞受賞を契機として、安全性には十分留意しつつも、出来るだけ多くのがん患者の皆さんに使えるよう、そのスピードを速めなければならない。

[ 2018.10.08 ]