憲法改正国民投票の投票権年齢が、今年6月21日から満18歳以上になった。これでようやく2年前に引き下げられた選挙権年齢と一致することとなる。一方先国会で民法が改正され、大人の年齢も18歳以上となり、宿題は若干残されているものの、10年来の課題だった若年年齢問題にほぼ決着を付けつつある。残るは少年法の適用年齢を揃えるかどうかだが、概ねそのような方向で議論が進んでいると承知している。
ところで衆参の憲法審査会では、残念ながら今国会では実質的議論が行われず、せめて、投票環境改善のための改正公選法の内容だけでも国民投票にも反映させようと、努力を続けた。内容的には問題ないとする野党だが、しかしこれにもなかなか乗ってこなかった。尾を引く「モリ・カケ」問題や官僚の不祥事などの影響をまともに受け、完全に政局に巻き込まれてしまったことが悔やまれる。
斯くなる上は自公に加え維新などで衆参ともに3分の2の勢力があるのだから、強行で通してしまえという声もなくはない。しかしそれをやると国民投票での過半数の賛成は極めて厳しくなる。国民投票を首尾よく行うには、野党第1党の賛成か、反対でも粛々と採決に持ち込むことが最低条件である。当面は「匍匐前進」の憲法論議しかない。
今後の憲法改正論議を実のあるものにするには、時の政局に左右されない環境作りが求められる。「立憲主義」の定義は様々あるが、最も有力なものは「憲法は権力を縛るもの」である。権力の真ん中にあるのは行政であり、政府である。したがって政府の中枢から憲法改正案が提案されるのは、この立憲主義に反することと受け止められ、議論は滞ってしまう。
立憲主義の理想から言えば、国民の側から改正案が提案されることだが、これは余りに理想的であり、現実的ではない。現実的には国民を代表する国会議員、またそれを束ねる政党が、国民からの意見も聴きながら、イニシアチブを取って改正案を提案することだ。そうすることにより初めて、憲法改正論議が実質的に成り立つ。わが党も改善の余地を残している。