2年前の参議院通常選挙から、1票の格差を3倍以内にとどめるため、鳥取と島根、高知と徳島の選挙区を合区して実施することとなった。この措置に対しては様々な批判があり、参議院自民党執行部は、埼玉県選挙区の定数を2増やして、格差を3倍以内に収めること。さらに比例代表定数を4増やし、その部分をあらかじめ順位を決める拘束名簿として、合区により参議院議員が選ばれない県をなくすという、新たな選挙制度改正案を取りまとめた。
人口比により選挙区を区分する際、1票の格差をできるだけ少なくしようとすると、人口減少地域では県単位で選挙区を維持することは困難となり、いきおい合区が生まれることとなる。結果、県を代表する参議院議員が選ばれないことは、有権者の政治離れを引き起こしかねない。現に合区された4県では、投票率がかなり低下している。
しかし参議院自民案は、議員定数を6増やすことになり、お手盛りの印象が拭いきれない。また結果として自民党を利することになるとの批判もある。次期参議院議員選挙まで1年、周知期間を考えると1年を切っている現在、各政党の理解を得ることは至難の技である。
1票の格差をできる限りなくすことは、憲法14条の法の下の平等から導かれる。かつては5倍以内なら憲法違反には当たらないと言っていた最高裁は、現在では3倍以内でないと違憲状態であると、だんだんハードルを高くして来た。衆議院ではさらに2倍以内でなければならない。
私は1票の格差をできるだけ少なくすることは大切と思うが、そのことで政治離れが助長されたり、選挙区がバラバラになることも避けなければならないと思う。人口比と同時に行政区画や地域的繋がりも考慮して、選挙区を画定しなければならない。参議院における合区の解消と、衆議院におけるキメラのような細切れ選挙区解消のためには、やはり憲法に行政や地域的まとまりの要素を考慮すべしと、きちんと書き加えることが重要である。