先日自民党において、「健康増進法改正案」がようやく固まった。改正のメインは言うまでもなく、禁煙の場所を拡大することにより、「望まない受動喫煙」を無くすことである。受動喫煙防止については、WHO(世界保健機関)が以前から各国に向けて働きかけてきた。欧米各国は早いうちから、この対応が徹底的に進められてきた。40年前から20年前までタバコを吸っていた私は、海外視察などにいくと、禁煙区域が厳格に決められていることがしばしばあって、驚くことしきりだった。
我が国では昔からタバコを愛好する風土があり、「タバコ文化」なるものが根強く存在した。また葉タバコ生産者や小売たばこ販売店の生活権や、専売公社の既得権を守ろうとする勢力が政治に深く関与していた。このため受動喫煙対策は先進国の中でも遅れを取っていたことは事実である。
しかし我が国でも、受動喫煙防止の対策を取らざるをえない状況が生じた。それは2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催である。過去のオリパラ開催国では、実際に禁煙措置が厳しく取られており、我が国がこれを放置しておくことは、国際的にイメージダウンである。
この度は政府・自民党の中で、数年越しの議論にようやく決着をつけることが叶った。まずは学校や病院、児童福祉施設などでは建物内部だけでなく、敷地内は全て禁煙とする。次に事務所等や飲食店のうち新たに開設する店舗や、既存の店舗でも経営規模の大きいところは、屋内禁煙とするか、喫煙専用室を設置することが義務付けられる。
一方飲食店のうち既存で規模の小さい店舗は、喫煙可能か屋内禁煙を掲示しなければならない。その境目の基準は「個人経営か資本金5000万円以下」で「客席面積100平方メートル以下」の小規模店である。なお全ての施設での喫煙可能部分には、客・従業員ともに20歳未満は立ち入れないこととした。
タバコ文化の保存や愛煙家の切なる気持ちは分からないではないが、ここは世界標準にきちんと合わせなければならない。またこのような措置が不十分との声もあるが、まずは第一歩としてスタートさせ、その着実な実施を目指すべきである。その後も受動喫煙防止の取り組みを、継続して実現すべきである。
我が国においては、とりわけ政治の世界での取り組みが一番遅れているようだ。愛煙家の同僚議員に対して、心を鬼にして「世界標準に従いましょう」と言わなければならない。