はじめのマイオピニオン - my opinion -
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大人の年齢18歳に

 今国会では、まもなく民法改正案が提出される。目的は成年年齢、いわゆる「大人」の年齢を現在の満20歳から満18歳にすることだ。平成19年に我々が憲法改正国民投票法を議員立法で成立させた時、投票出来る年齢を諸外国の多数例により満18歳以上としたが、選挙権年齢が20歳から18歳に下がるまでは20歳以上という条件を付けた。さらには成年年齢を18歳に揃えるのが望ましいため、鋭意検討することを提案した。

 選挙権については、ようやく平成27年公職選挙法改正により翌年に18歳に引き下げられ、前回の参院選も昨年の衆院選もそれで行われた。18歳という引き鉄を引いた私としては、最後の仕上げである民法改正による成年年齢引き下げがようやく議論されることに、安堵を覚えるとともに責任の重大さを痛感している。

 なぜいま18歳なのか?大人と子どもを分ける年齢は18歳がグローバルスタンダードであるからだ。また同時に超少子高齢化を迎えた日本が、今後の人口減少社会においてもその活力を失わないためには、若年世代が早くから立派な社会の構成員として、経済や政治や文化の担い手として活躍してもらう必要があるからだ。

 大人の年齢が18歳からになると、年齢に関連する多くの法令の調整が必要となる。大半は形式的な修正で済むが、政治判断が必要なものもある。未成年者喫煙禁止法や未成年者飲酒禁止法は、そのままでは18歳でOKになってしまう。大人の自覚を持たせるためにはそれでも良いという意見はわずかで、若者の健康を考えて20歳に据え置くとの意見が圧倒的だ。公営ギャンブルの投票も同様であり、20歳以上という年齢を書き加える。

 もう一つの懸案は消費者契約法である。これまでは、不当な契約をさせられた場合に、20歳未満のものは親権により取り消し可能であった。しかし大人の年齢が18歳以上になると、18歳と19歳の若者の契約は親権では取り消し出来ない。20歳になるとトラブルが急増する現状も問題だが、それが18歳から始まるともっと良くない。

 この件に関しては消費者委員会においても、私が会長を務める自民党消費者調査会でも、真剣な議論を行って来た。一つの意見は、折角大人の年齢を下げたのだから、早く自立して自己責任で対処すべきだというもの。一方、人生のスタート時点で多くの負債を抱えることは酷ではないか。18歳、19歳を含め若年者には何らかの一定の保護が必要ではないかというもの。

 いずれもうなづける主張であり、今回は両方のバランスを考慮して、事業者が消費者の経験不足にかこつけて、「このセミナーを受講しなければ、あなたは永遠に就職出来ない」など不安をあおる状況で不当に契約を結ぶケース。また消費者との恋愛感情など、特別の人間関係を構築し、その継続のために無理矢理契約させるケース。よく「デート商法」と言われるが、これらの類型については年齢の如何を問わず、契約取り消しが可能となるよう条文化した。

 さらに消費者の経験不足などにかこつけた一般的な勧誘行為については、成立要件が未だ曖昧であり、かつ立証することが難しいため、引き続き消費者委員会等で検討することとした。当面は学校や地域社会で悪徳商法の手口をアクティブラーニングなどで、実体験してもらうような消費者教育を展開しなければならない。消費生活相談員や弁護士など外部人材の活用も進めるべきである。

[ 2018.02.05 ]