先週臨時国会の冒頭で、衆議院が解散された。突然の解散であったが、安倍総理は北朝鮮への強硬対応の是非や、消費税アップの使い道変更について国民に信を問うとして、解散の大義を示した。選挙の争点はこれに加えて、憲法改正の方向性、安倍長期政権への評価、原発政策の今後などを交えて、舌戦が繰り広げられる。
一方民進党は求心力を失い、小池新党「希望の党」へのなだれ込みを許してしまった。この動きは政策の一致は二の次にして、選挙に勝つためだけの究極の「野合」、「選挙互助会」の誹りを免れない。2年前に成立した平和安全法を憲法違反といって反対して来た方々と、安全保障上必要であると考える小池都知事に、妥協の余地はあるのだろうか?消費税アップの使い道を教育と福祉に全て充てるとする前原代表と、アップ反対を表明している小池都知事は手を結ぶことが出来るのだろうか?
小池都知事の発信力はとても強いものがあるが、その中味を精査すると様々な矛盾を孕んでいる。「しがらみのない政治」と言うが、そもそも政治は様々なしがらみをどう調整し、最大多数の最大幸福に結びつけるかという困難な作業である。「しがらみのない政治」は全くの幻想に過ぎない。
「ガラス張りの政治」と言うが、小池知事率いる都民ファーストの都議会議員に箝口令を敷いていたのは、果たしてガラス張りなのか?言うこととやっていることがこれほど違うケースは、滅多にお目にかかったことがない。
また首都東京の知事という極めて重い職責をどのようにお考えなのか、マスコミはきちんと問い質してもらいたい。築地市場の豊洲への移転に関しては安全性の再確認という作業は必要であったと思うが、大幅に遅れたため、補償問題に悩む業者も少なくない。また「豊洲に移る、築地を生かす」という曖昧な結論により、多くの出店者が戸惑っている。
またこの余波により、築地跡地を通過する環状2号線の整備が大幅に遅れている。この道路は東京オリンピック・パラリンピックの選手村と国立競技場など重要施設を結ぶ幹線道路であり、これが出来ないと都心の交通は大混雑することは明らかだ。オリパラの成功など、昨年の都知事選挙における、多くの都民の期待をないがしろにして、国政に傾倒しようとする態度は、責任ある政治家のやることではない。
真っ当な政治とは、目先のムードや流行りに迎合することではない。将来を見つめながら、しっかりとした政策を積み上げ、着実に実行していくことである。時に国民に不人気な政策であっても、それを言い続ける態度こそ真っ当な政治の道である。有権者の賢明な選択に期待しなければならない。