はじめのマイオピニオン - my opinion -
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平和への想いと行動

 今年もまた8月15日の終戦記念日がやって来た。72年という歳月が流れた。この時期はマス・メディアで戦争関連や平和に関する番組が多く流れるが、今年秀逸だったのは、NHKが制作した「731部隊」と「インパール作戦」である。

 731部隊の正式名称は「関東軍防疫給水部本部」で、石井四郎軍医総監が部隊長だったので、「石井機関」とも呼ばれる。旧満州において化学兵器や生物兵器を製造する目的で人体実験を繰り返し、現地中国人はじめ約3千人も犠牲者が出たとも言われている。戦後我が国政府は、その存在は認めているが、活動内容は「資料がない」として認めていない。

 NHKの番組ではロシアに保管されていた証言記録を見つけ出し、ほぼ制限なく報道したので、国内外に大きな反響を呼んだ。特に中国政府はこのような番組を作ったNHKの勇気を讃えている。またこのように「報道の自由」がある日本を羨む中国人も少なくないと報じられた。

 私がショックを受けたのは、その極めて残虐な行為だけではなく、石井軍医総監の出身が旧京都帝大だったこともあって、同大学の優秀な学者か多数送り込まれ、その行為の一端を担ったことだ。戦時中とはいえ、当時の科学者の倫理観の欠如に、大きな憤りを感じる。旧帝大と戦後の京都大学とは全く違った存在ではあるが、何時の世になっても「科学者の倫理観」が如何に大切かを痛感せざるを得ない。

 この番組から私たちが学ぶべきことは、「戦争は悲惨だ」「戦争は残酷だ」「戦争はやめなければならない」という強い思いを共有するだけではなく、「如何にしたら戦争を回避出来るか」「戦争をやめることが出来るか」を、具体的に考え行動することではないか。全体の雰囲気に流されることなく、悪いことは悪いと勇気を持って述べることではないだろうか。

[ 2017.08.21 ]