先週後半、九州地方北部では断続的に大雨が降り続き、福岡県朝倉市や大分県日田市などでは、河川の氾濫や土砂崩れなどで多くの犠牲者や甚大な被害が発生してしまった。心からお悔やみ、お見舞い申し上げなければならない。
特に朝倉市ではわずか48時間の間に600mmという、7月1ヶ月分の雨が一度に降り続いたという。原因は「線状降水帯」という聞きなれない現象が発生したからだ。水分をたっぷり含んだ西風が、脊振山地によって二手に分かれ、また合流した風下で活発な積乱雲が相次いで発生した。
この現象の特徴は、長時間にわたって同じところに豪雨を降らせることだ。2年前の9月、北関東で発生した線状降水帯は、栃木と茨城に長く豪雨を降らせ、鬼怒川下流の常総市で堤防が越水及び決壊し、甚大な被害が発生したことは記憶に新しい。
例年梅雨の末期にはこの様な局地的な豪雨はしばしば発生するが、30年に一度起こるか起こらないほどの「異常気象」を飛び越えて、50年や100年に一度という「未だかつて経験したことのないような豪雨」を、日本中の各地で経験するようになった。
なぜこの様な現象が起こるかと言えば、やはり地球温暖化の影響を考えざるを得ない。全体的な気温上昇は大気中の水分をより多く貯めることとなり、これが他の冷たい気団に触れると、大量の雨となって地上に降り注がれる。CO2をはじめとする温暖化ガスの早急な削減を求めなければならない。
昨年の気候変動枠組み条約・締約国会議(COP)でようやく合意したパリ協定では、2030年までに各国が温暖化ガス排出の何割を削減するかをプレッジしたが、肝心のアメリカがトランプ大統領の命により、離脱を決めてしまった。今後の各国の足並みの乱れが懸念される。
我々協定順守国はスクラムを組んで、この度の九州地方北部の豪雨災害をはじめ、各国で発生している自然災害をまとめて、トランプ大統領に突きつけたい気持ちである。