はじめのマイオピニオン - my opinion -
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熊本地震から一年

 昨年4月14日夜9時26分、マグニチュード6.5の強震が益城町をはじめ熊本中部地域を襲った。これが本震だと誰もが思ったが、その28時間後の16日午前1時25分、さらに強いマグニチュード 7.3の地震が発生し、後にこれが本震と指定された。実に前震の16倍の威力に当たる。さらにその後の余震も他に例を見ない頻度で発生するという、滅多にない地震だったようだ。

 一連の地震により直接死と認定された犠牲者は50名に上り、乗用車の中で寝泊まりしていた方々のエコノミークラス症候群発症など、災害関連死と認定された犠牲者は160名を超えてしまった。あらためて犠牲者のご冥福を祈るとともに、負傷された方々にお見舞い申し上げたい。

 「災害関連死」という概念はそう古いものではない。多分この言葉は阪神淡路大震災頃から人口に膾炙してきたと記憶する。特に2004年10月23日午後5時56分に発生した中越地震では、発災後マイカーに寝泊まりしていた避難者の多くがエコノミークラス症候群を発症し、50名以上が亡くなったことで、多くの人々が衝撃を受けた。

 これを機に災害対策のあり方も見直しが行われた。直接の地震の揺れで建物などが倒壊しないよう、耐震補強することは言うまでもなく、避難者の健康状態を常にチェックして、関連死を最小限にとどめることも、重要な対策になった。

 被災地支援のあり方も、同様に変わってきている。発災当初は毛布とか衣類、トイレ用品のニーズが多いことには変わりないが、これを続けていると、被災地には毛布やカップラーメンの山が積まれることになる。本当に必要なものは復興のフェーズによってどんどん変わってくる。医薬品や携帯のバッテリーなど、ニーズを細かく把握するようになった。

 被災地やその周辺には、これらのニーズを的確・迅速に把握し、速やかに現場に届けるマネージャーが必要であり、そこにあらゆる情報を集めるための、SNSなど情報ネットワークが不可欠である。私も阪神淡路大震災の際、党の学生部諸君と神戸に支援活動に入ったが、災害ボランティアの皆さんが普及しはじめたプロバイダーのニフティを駆使して、救援物資の偏在を是正しようとしていた姿が、目に焼き付いている。

 「災害は忘れた頃にやってくる」という教訓があるが、最近では「忘れる暇もなくやってくる」という状況である。ハード面の復旧・復興は言うまでもないが、ソフト面でのきめ細かい支援活動も益々重要になっている。

[ 2017.04.17 ]