はじめのマイオピニオン - my opinion -
船田はじめが毎週月曜日に提言するメールマガジン。購読ご希望の方は下記フォームからお願いします。
お名前
メールアドレス
    配信停止申込
「アスリート・ファースト」を望む

 小池東京都知事の勢いが止まらない。

 知事当選以来、豊洲新市場の地下が盛り土でなく空間であったことが発覚し、その責任追及の姿勢に、都民の支持率は85%にも達している。都庁と都議会の長年の馴れ合い構造にメスを入れることに、都民が喝采を送っていることは理解できる。大いにやるべきだろう。

 しかしもう一つの案件、すなわち東京オリンピック・パラリンピックの競技場整備計画に対して、主に財政面から厳しく見直すことには、もう少し慎重さがあって然るべきではないだろうか。

 見直し対象となっているボート・カヌー競技場、水泳競技場、そしてバレーボール競技場は、確かに当初計画に比して3倍から7倍の費用に膨れ上がっており、これを見直して削減することは、都民の負担を減らすことにつながる。これもやるべきだ。

 しかしこの時期での大幅見直しや取り止め、さらに会場の変更は、各競技の国際組織を通じて、IOCの了解をあらためて受けなければならない。4年後に控えた本番までに果たして間に合うかどうか、懸念されている。国際公約を果たせなくなる懸念もある。見直しをするにしても必要最小限度が望まれる。

 さらにはその器でパフォーマンスをする、アスリートたちの考えもしっかり聞くべきではないか。わが国はもちろんのこと、世界のトップアスリートたちが一堂に会する場である。それに相応しい競技環境を整える必要がある。コスト削減に力を入れるあまり、その環境まで悪くすることはよろしくない。

 賢明な小池知事にはご理解いただけると思うが、この度の施設整備の見直しに当たっては、是非とも「アスリート・ファースト」の精神を忘れないで欲しい。

[ 2016.10.03 ]