はじめのマイオピニオン - my opinion -
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震度7が2回の衝撃

 多数の犠牲者や避難者を出した熊本地震から、概ね1ヶ月が過ぎた。政府は1兆円規模の補正予算を編成するとともに、激甚災害の指定や、重要インフラ復旧を国で代行することも決めた。これら一連の政府による迅速な対応は、国民から一定の評価を得ているが、被災者のニーズに的確に対応するためには、なお一層の努力が必要と考える。

 

 ところで今回の地震の特徴は、本震が事実上2つあったということだ。熊本で震度7を観測した4月14日21:26のマグニチュード6.5の地震が、本震だと誰もが思っていた。ところが28時間後の16日01:25に、同じく震度7を観測したマグニチュード7.3の地震が、実は本震であったということだ。14日の地震が16日の前震であったという訂正が気象庁で行われたことは、極めて異例のことである。

 

 さらには震源域が大分県中部まで達し、実に100kmの長さに拡大したこと、また震度1以上の地震が一ヶ月の間に1400回を超えるという、長期間にわたる活発な地震活動が今回の大きな特徴と言える。

 

 気象庁が定める「最大震度7」が2回も発生したという現象は、近代地震観測100年の歴史の中で初めてのことであり、「想定外」と言っても良いだろう。しかし識者の中には「たかだか100年の尺度で地震に立ち向かうのは無謀であり、我々はもっとデータを蓄積して、真摯に向き合うことが要求される」と指摘する声もある。

 

 熊本では1回目の震度7で持ちこたえた建物が、2回目の震度7で潰れてしまったケースが数多く報告されている。事実、1回目の犠牲者よりも2回目の方が遥かに多かった。現在の耐震基準は、たかだか1回の激震に耐えるだけの強度であり、2回目も持ちこたえようとすれば、その1.5倍の強度が必要になるという。耐震基準の見直しも重要な課題となった。

 

 熊本県民には誇れるものが2つあるという。1つは加藤清正が整備した「熊本城」。もう1つはゆるキャラグランプリ初代チャンピオンの「くまモン」である。今回の地震でお城の鯱鉾や瓦が落ちてしまい、また石垣の多くが崩れてしまい、県民は大変ショックを受けているという。加藤清正が整備した石垣はビクともせず、その後整備されたところが崩れてしまったことで、あらためて清正の評価が上がったと言われている。生活支援と同時に、熊本城の修復も大きな課題である。

 

 くまモンの活動が地震の後しばらく休止されていたが、全国から、いや海外からも「くまモンどうした?」という心配する声が相次いだという。くまモンのキャラクター使用は、個人で使ったり営利でない使い方であればオープンなので、義援金街頭募金などの際には、大いに使わせてもらい、その効果は大きかった。

 

 熊本の被災者の生活復興とともに、心の復興も合わせて考え、そして行動しなければならない。

[ 2016.05.16 ]