はじめのマイオピニオン - my opinion -
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AIは人間を超えるか?

 AI(Artificial Intelligence)すなわち人工知能が、最近脚光を浴びている。チェスの試合で世界最高峰の人間が、AIの指し手に1勝4敗で負けてしまったという。また文学の世界でも、SFのショートショートの最高峰「星新一賞」の1次選考に、AIが書いたものが通過したとのニュースが流れた。

 

 人工知能というアイディアはまさにSFの分野から編み出され、アメリカのカーネギーメロン大学を中心に、その実現性について、科学的で理論的な研究が続けられてきた。そしてとうとう自動運転やゲーム、シミュレーションの分野で実用化されようとしている。

 

 これまでのコンピュータは演算能力を研ぎ澄ませ、与えられた仕事を忠実に迅速に、間違いなくこなすことに終始していた。しかし人工知能は、コンピュータが自ら考え、価値判断を行い、人間と同じかそれ以上に類推を働かせるようになったのである。

 

 これまで比較的単純な仕事はコンピュータに任せ、想像力や創造力を必要とする分野は人間の専売特許とも言えたのだが、これが段々怪しくなってきている。単純作業からコンピュータに追われた人間は、創造力を必要とする分野に安住の地を見出していたが、ここすらも人工知能に追われるとなると、人間はいよいよ失業に追い込まれるかも知れない。

 

 1968年発表のSF映画『2001年宇宙の旅』は、アーサー・C・クラーク原作、スタンリー・キューブリック監督作品だが、ここにも人工知能は登場した。HALという名前だが、木星探査のミッションを帯びた宇宙飛行士を、彼の意思によって次々と殺害し、ようやく最後の飛行士がHALのチップを抜き取って生き残るという、背筋の寒くなるストーリーだった。

 

 人工知能にとっては迷惑な話かもしれないが、彼らが将来は、人間に代わる存在になるかもしれないという教訓を教えているのではないだろうか。そうならないためには、人工知能が逆立ちしても真似することのできない、人間としての得意技を考えておかなければなるまい。人間としての価値を最大限に高める方法を編み出さなければならない。

[ 2016.03.28 ]