はじめのマイオピニオン - my opinion -
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消費再増税の延期はあるか?

 安倍内閣は2014年4月から、消費税を5%から8%に引き上げた。ところが、その後の消費低迷により、デフレ脱却というアベノミクスの命題が難しくなり、10%への再増税を2015年10月から上げるところを、2017年4月へ18ヶ月遅らせた。安倍内閣はその政策選択の是非を問うため、衆議院解散総選挙を14年12月に断行し、与党の圧倒的勝利により信任された。

 

 今年に入り、中国経済の予想以上の減速や、原油など自然資源価格の低迷による新興国の不調で、年初来の世界経済は弱含みで展開している。この状況を踏まえて、予定通り消費再増税行うべきかどうか、政府与党の間で再延期の可能性が取り沙汰されている。

 

 安倍総理は「東日本大震災クラスの天変地異や、リーマンショックほどの経済の混乱がない限り実施する」と主張していたが、最近ではかなり弱気の発言が目立っている。「再増税で日本経済がおかしくなったなら本末転倒だ」「再増税しても税収が上がらなければ、再増税の意味が失われかねない」などである。

 

 さらに最近は、ノーベル経済学賞受賞者でコロンビア大学のスティグリッツ氏など、世界経済の専門家を官邸に呼んで、盛んにヒアリングを続けている。表向きは伊勢志摩サミットの議長国として、世界経済の動向を見極める材料を得る目的としているが、実際は再増税延期の理由を探していると言っても間違いではないだろう。

 

 経済は生き物であり、予定通りに行かないのは常のことだが、私は一度リスケジュールした再増税は、余程のことがない限り、予定通り実施すべきと考える。確かに再増税による消費の落ち込みは当然予想され、当面の税収が落ち込むことも覚悟しなければなるまい。

 

 しかしそれ以上に重要視しなければならないことは、世界経済における我が国の信用である。財政規律のタガがこれ以上緩むことは、日本の信用を貶めることになる。はじめての軽減税率の導入も与党内であれだけ苦労し、低所得層や中小零細企業の負担増への配慮も、出来うる限りの対応しているはずだ。

 

 消費税増税の是非は、目の前の景気動向だけに目を奪われることなく、中長期的な視野に立って判断すべきである。国の財政規律にかける姿勢を内外に示すという、重要な観点を決して忘れてはならない。

[ 2016.03.21 ]