第二部 経済・社会を変える 第六章 市場原理を第一にする 銀行の経営内容を詳細に公開せよ 証券会社は、決裁システムを提供していないので、行政が介入する必要性は銀行に比べて少しもない。もし証券会社が倒産したとしても、不安心理は起きるだろうが、銀行の場合と違って、一般企業への連鎖反応の危険はないはずである。したがって、免許制である必要はない。 証券免許制から登録制へ移行することによって、証券業務の様々な分野への自由な参入を促し、競争を促進すべきである。 また、銀行の子会社も含めた証券会社が取り扱うことの出来る有価証券の範囲を広げるべきである。これによって、イノベーションの競争、新商品の開発競争は活発化する。 株式の売買や、社債発行などの手数料も自由化すべきである。これによって、大口投資家への補填というスキャンダルも起こらなくなる。小口投資家の手数料は上がるかも知れないという話があが、それは、自由化してみないとわからない。アメリカのように、株式売買の取次だけに特化する業者(ディスカウント・ブローカー)が必ず出てくるだろう。そうなると小口の手数料も下がるはずだ。また、個人投資家は、自分に代わってプロフェッショナルが運用する投資信託を購入してもよいのである。 では、決裁システムを担う銀行への行政はどうあるべきか。箸の上げ下げまで指導するという行政による管理から、市場による監視という考え方に転換すべきだ。 このためには、銀行の自己責任を促すような明示的なルールを設ければよい。リスクの高い資産を持った銀行には、より多額の自己資本を求めるという自己資本比率規制を続けることに加えて、大きいリスクをとった銀行には預金保険料を高く設定するという方式に改めることが必要だ。そして、経営内容を、不良債権をも含めて、分かりやすい形で公開し、市場が個々の銀行のもつリスクを監視、評価できるようにすべきである。 銀行は公共的性格を持っているがゆえに、詳細な情報公開が必要なのである。バブル崩壊後、不良債権の公表が後手後手であったがゆえに、金融不安が増大してしまった。もっと早期にもっと詳細な内容を公表すべきであった。 そして、銀行の株主は株主の視点から、預金者は預金者の視点から銀行を監視することが求められる。この結果が、各銀行の株価と預金金利となって出てくるのでなければならない。
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