< 地域安全保障システム >
3番目の課題は何か。国連という枠組みから少し狭くしまして、アジア地域に焦点を当てたいと思います。今、ASEAN(東南アジア諸国連合)では、加盟国が積極的対話を続けております。しかし、日本、中国或いは台湾、韓国、北朝鮮、さらにロシアも入れた、いわゆる北東アジア地域における集まりは全然ありません。中国と台湾との対立状況や南北朝鮮の安全保障問題は、まだまだ気の許せない状況が続いております。南北首脳会談があってもまだまだです。世界では東西冷戦は終わったのですが、アジアのこの一角にだけ、まだ冷戦構造が残っている。そんな感じを受けています。
ですから北東アジア地域における何らかの地域連合、ASEANと同じような地域連合が必要であると思います。最初は経済協力でもいいと思います。しかしだんだん政治上の協力、或いは安全保障上の協力というか話し合いの場にしていくのがいいと思います。ASEANでは既にARF(アジア地域フォーラム)というのが出来ております。ARFは経済問題だけではなくて政治問題、それから安全保障の中での協力体制もだんだんと話し合われるようになってきました。地域の安全保障システムというにはまだ程遠いのですが、この存在のために東南アジアの方が比較的安全であるという感じになってきました。
問題は、北東アジア地域であります。これも出来るだけ早く枠組みを作らなければなりません。どの国がリーダーシップを取るかでいつも問題になりますが、日本はむしろ黒子に徹して、手柄を挙げるのは他の国でもいいと思います。北東アジア地域での安全保障について、話し合う舞台を是非作っていかなければいけないと考えているわけです。これが3番目の課題です。
|