< 憲法改正について >
一つは先ほど来、やはり憲法のところがネックであって、第九条をどういう方向に変えていくか、これを真剣に議論するのが大きな我々の課題ではないかと思います。幸い、国会の中にも憲法調査会というのが戦後初めてできました。もちろん憲法改正に向けては、まだまだいろんな議論がありますし、時間もかけなければなりません。おおむね5年を目途に、憲法改正に向けての議論をしましょうというのが、大体のコンセンサスになっています。ですから今年の正月から始まったばかりですから、まだまだ先があるわけですね。しかしそういう中でも、憲法を見直すんであれば、やはり九条のところを変えていきましょうという意見は、憲法調査会の中でも大勢を占めてきてるわけです。もちろん第九条に手を触れてはいけない、不磨の大典だと言っている方々もまだまだおられる。しかし、その数は以前と比べれば非常に少ないということであります。
ではどういうように変えるか。今までの経験から言うと、少なくとも集団的自衛権は少し慎重に考えるべきと思います。しかし例えば、先ほどの小沢調査会のときに述べたような国連軍が、もし将来できたようなときには、それには参加できるような状況を作る。つまり集団的安全保障の考え方は、憲法の中でもきちんと読めるような状況にすべきだというのが、私の持論でございます。これが一つの課題であると思います。
あわせて憲法の下の法律の中で、いわゆる有事法制というのがまだ十分には整備されていません。いま防衛庁においても第一分類、第二分類、第三分類という整理をしています。第一分類は自衛隊法の改正をすることで対応できるということで、これは相当研究が進んでおります。しかし第二分類、つまり他の役所と関係する法律や管轄する法律。これについては他省庁との調整がまだ完全にはうまくいっておりません。例えば消防法の適用を有事においても厳格にやろうとすれば、自衛隊はがんじがらめで動けません。道路交通法や道路運送車輌法厳格にしたら、戦車は橋を渡れないという状況がまだ残っております。さらに第三分類はどの省庁が担当するか決まっていない分野です。こういった問題をきちんと整理して、いざ有事の時には自衛隊の皆さんが、きちんと任務を行使できるんだという体制を、法律上も保証しておかなければ、私はまったく絵に描いた餅になってしまうと思っています。このような有事法制の整備を、例えば「三矢研究」で以前大騒ぎをしたような、感情論で議論するのではなくて、今この時代だからこそ冷静に議論をして、一日も早く自衛隊が一朝有事のときにきちんと動けるような体制を作るべきだと思います。
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