ODA四原則とは?
過去にも、ODAの使い道をきちんとチェックしようということで、私が自民党外交部会長のとき、「ODA四原則」を役所と相談して作りました。ODAを受ける国が軍備強化にいそしんでいないか、援助事業が環境破壊につながっていないかを、厳しくチェックするのです。例えばインドでは、かつて「ナルマダダム」を援助しましたが、それが下流の住民の生活を脅かすということで規模が縮小されました。ODAによって、途上国の環境が壊されないことが重要です。それから、被援助国が国としてきちんと機能しているかどうかも大変重要です。内戦状態にある場合などは、一方的な援助になりかねず、民族自決権に反するかもしれません。国が合法的に国民全体を掌握しきっているかということです。最後に、被援助国の政府が国民を抑圧し、抵抗勢力を大規模に処刑しているなど、民主化に逆行している場合は、ODAを控えることとしました。もちろん、一度援助を始めますとなかなか減額できないものです。まだまだ、この四原則を客観的に点数化して、毎年減額するかどうかを判断するにまでは至っておりません。事業の継続性、外交の継続性というものもあります。でも我々の血税を使うわけですから,ODAは誰が見ても公平・公正であることが求められます。
ODAの評価が低すぎる!
実は日本のODA総額は、しばらく世界一を記録していました。その後の円安でアメリカに追い抜かれたということですが、がんばれば再び世界一ということも夢ではありません。また、これに対する世界のの評価は非常に高いものがありまして、私も、各国でよく耳にすることがあります。しかしながら、日本のマスコミはあまりこの点を取り上げていないようです。特に、残念に思うことのひとつに、JICAが行っている青年海外協力隊(JOCV)というのがあります。これは、2年間35才以下の青年達が、途上国で自分達の持っている技術を、現地の言葉を話しながら技術協力する制度です。このような非常によい制度をきちんとマスコミは紹介していません。私も応援団の一人としてずっとやってきましたが、残念に思います。JOCVのもとはアメリカのピ−ス・コー(平和部隊)という制度です。しかし彼らは現地に行っても英語しか話しませんし、言い過ぎかもしれませんが、アメリカの味方につける意識が強すぎて、成果が挙げられない場合があります。それに比べ、日本の若者はどんなに希少な言語でも必死に勉強し、片言でもなんとかがんばり、現地でも非常にありがたられております。時には気に入られすぎて、アフリカのある村では酋長に推されてしまった青年もいました。彼は日本に奥さんも子供もいたので、現地にずっといるわけにも行かず、年に1回の儀式を司る名誉酋長に収まったわけですが、そのくらい素晴らしい活動です。マスコミにはもっとこの点を取り上げ、特集を組んでいただきたいとお願いを重ね、ようやくテレビ番組で取り上げてくれることになりました。ところがその内容は、失恋した青年が心の傷を癒すため、青年海外協力隊員として2年間、海外に出るというものでした。もちろんそれでは協力隊のイメージが悪くなってしまいます。いまひとつ日本の素晴らしい援助が、自国民にきちんと伝わってないと痛感しました。
外交や途上国援助は、外務省の専権事項として、外務省のみが行うものではありません。外交は、我々国民一人一人の感情や応援抜きに行えるものではありません。国勢や国民の感情なり考え方の延長であり、もっと密接に我々の生活に関係していることを認識すべきです。ODAについても、「武士は食わねど高楊枝」ではありませんが、それぐらいの気持ちでODAを減額せず、世界に貢献し続ける日本を、小泉さんにはもっとアピールしていただきたいと思います。