←本・エッセイトップへ
←前のページへ
- 6 -

本物の教育改革を!
 次に小泉さんが言っていないことは、教育です。教育改革ということでは小渕さんも森さんも、ほとんど入り口で止まってしまいました。過去には、中曽根さんが5年の任期中にリーダーシップを発揮され、「臨時教育審議会」で答申を出しました。しかし正直いって、答申の中で実行されたのは半分も実行されておりません。一定の方向を示すという点ではよかったと思いますが。しかし現在の教育の実態を見てみますと、非常に悪くなっております。私も学校経営者ですから、ひとごとではなく自分の反省も含めております。具体的に言うと、学校に行けない子ども、学校に行く時間になるとお腹が痛くなる、足が動かなくなるという不登校の子どもの数が、いま飛躍的に増えております。原因は様々です。いじめが原因の場合も多くあります。もっと多いのは勉強を続ける意欲がない、学校が面白くないなどで、学校教育が限界を示しているのではと思います。
 さらに、覚せい剤やシンナーなど薬物に手を出す若者が急増しています。「切れる17才」という流行語まで生まれました。本当に、学校教育が今、力を失っております。もちろん、これは学校だけの問題ではありません。家庭教育の問題が、まずあります。また、自治会や町内会、子供会など地域全体で子どもたちを育てていこうという空気がなくなりました。人の子どもでも悪いことをすればきちんと叱る。未成年者がタバコを自動販売機で買おうとすれば、法律違反だときちんと制止する。悪いことをすればいけないぞと言う、言うべきことをきちんと言うということができなくなりました。家庭でも地域社会でも善悪を教える人がいなくなっているという状況です。
 これは、審議会をつくって、2、3年掛けて教育改革を行くというような、そんな生易しいものではなくなってきています。本当に基本的なしつけや善悪の判断をみっちり教える場を、家庭でも、学校でも、地域社会でもよいので、もう一度つくる必要があります。教育の建て直しは、日本の建て直しにもつながります。是非、これは国民運動としてやるべきです。議論の余地もないし、議論をしている暇もないのです。本当に、今の子供たちを見ていますと、日本は決してよくならないと思います。実際的で本音の教育改革を私もやりますが、皆様にもどんどん声を出していただきたい。あらためて、お願いいたします。

おわりに
 だいぶ時間が経過いたしました。最初にお話したとおり、日本もまだまだ捨てたものではありません。かろうじて「明日がある」と思っております。しかし、これまで述べたことをきちんとやらなくては、「明日がある」とはいえないということが、この講演で申したかった大きなテーマです。言葉は簡単ですが、実行するのは確かに難しいのです。だからといって、また先延ばしをすると今の状況が更に悪くなります。もう、時間がありません。モラトリアムは終わりました。このことを、強く訴えていきたいと思います。
 最後になりますが、ニューヨークやワシントンなどで同時多発テロがございました。この経済的影響は相当に大きいと、私は思っております。まずは、ニューヨークの株式市場がいつ再開できるかということ。また、今日の東京の株式市場では円高と株価暴落。ロンドンも同様です。この暴落の連鎖が今後起こる可能性があります。次に、アメリカは今までのテロに対してと同様、必ず報復をすること、つまりテロに屈しないことを行動で示して参りました。もちろん、性急で感情的な報復は、よもや、ないとは思いますが、今後、なんらかの用意周到な、絶対負けない方法での報復はかなりありうると思います。これについては、日本が何を言っても、アメリカは伝統的にテロに対して行動で示すことになるのでしょう。ただし、それが何かの引き金にならないことを、私は期待しております。
 こういった話で講義が終わるのは、大変残念ではありますが、是非、「明日があるさ」という歌を日本人の心の中、気持ちの上でも、もっともっと毎日口ずさめるようなにしたいと思っております。私も、皆様のご指導ご批判を受けまして、精進していきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 ご清聴ありがとうございました。

←本・エッセイトップへ
←前のページへ

このページのトップへ


HOME今後の予定はじめのOpinion政策提言本・エッセイはじめ倶楽部経歴趣味Linkはじめに一言

Copyright(c)1996-2003 Hajime Funada. All rights reserved.