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M:船田先生が今ご質問された点は、非常に私も注目をしてるんです。知日派がたくさんいるということは、期待があるんですが、日本の現実をよくみてますので、多分クリントン政権のやり方と全然違うと思います。クリントン政権では、強硬な対日政策をとってたんですが、知日派がいなっかったから、どうやって日本との対話を進めて、そして根回しをして協力するかという、そういうやり方を知らなかったんです。ですから、ミッキー・カンター的に非常に強烈にでて、日本ではこれに反発するという、そういう動きがでてきたと思います。しかし、リチャ−ド・アーミテージとかトーケル・パターソンとかマイケル・グリーンは、日本の政治をよく知ってるし、1つの過渡期にあるかということを認識しています。あんまり表で押すということになると、逆に変な方向に流れるという心配もありますので、もっとpatientlyにいろいろな人と会って、同じ様な考えの人たちと協力していく。そういうように動くと思います。しかし、心配する点は、知日派の人たちはそれを理解してても、議会のほうがどれだけ理解しているかということで、平事のときだったら問題がないんですが、もし有事になった時に、議会のほうがなぜ日本がもっと真の同盟国として一緒に行動できないのかと、そういう凄い批判がでてくる可能性がある。それを一番心配しております。

F:ありがとうございます。確かに、根回しという日本の独特のやり方で、アメリカにもないとは言えないと思いますが、彼らがうまくやってくる、あるいは日本側の防衛を担当している部署の人間との接触は、これから益々強まっていくだろう。そう思っておりますが、我々としては、よほどよく勉強して、アメリカの知日派のポストにある方々がどういう話をしてくるか、よほどきちんと受け止めていかなければいけない。今度は、我々の手のうちを知ってるんですね。これは逃げるわけにはいかないし、ほんとに真剣に、日本側が受け止めていかないといけません。そういう意味では、ネゴシエーションはかなり深まりますし、厳しくもなるだろうということを申し上げたいと思います。マイクのご指摘は、その通りだなと思っております。それから、もう1つ、今までも議論がでてきたのですが、多分アーミテージさんも来日した時に、NMD(National Missile Defense)構想ですか、アメリカの本土を守るためのミサイル防衛構想、それからもう1つは、TMD(Theater Missile Defense)戦域ミサイル防衛構想の話があったと思います。NMDとTMDというのは、システムはかなり近いと思いますが、目的がだいぶ違っていたと我々は感じておりました。NMDとはまさに、アメリカ本土を敵国からのミサイル攻撃から守ろうと構想されている非常に大きな計画である。しかし、TMDは「戦域」と言われるように、例えば在日米軍を守る、あるいは在韓米軍を守るというための、迎撃ミサイルを部分的に配置して、カバーする範囲というのは比較的狭いものだということである。そして、日本に是非協力をしてくれと言ったのは、NMDではなくてTMD構想で、ようやく防衛庁においても、研究費が今年からつきました。まだまだ金額は少ないですが、もし、それが開発段階に進んでいくと、日本側のお金も相当でていく予定なんでありますが、しかし、それはあくまで戦域ミサイル防衛構想のものであって、いずれ日本がこれを導入する場合にも、限定的な場所でのミサイル防衛である。こういうことで、我々は、ちょっと考え方を別にしてたんですね。ところが、この前のアーミテージさんのお話とか、あるいはその他ブッシュ政権の枢要な方々の話などを聞いていると、NMD構想とTMD構想というのは、ほとんど同じである。それが地域的に違っているだけの話である。そしてTMDのシステムは、アメリカのNMDのシステムと連動する、あるいは包括的なものである。こういう説明を最近結構聞いてますので、ちょっと話がだいぶ違ってきたのかなと感じます。例えば、アメリカ本土に向けて敵国からミサイルが発射される場合、日本がもっているTMDで、それを発射したかなり早い段階で撃ち落とすということによって、アメリカ本土を守るということが、要求されるのではないか?そうなると、これは、集団的自衛権の行使ということと、非常に関連していくのではないかと、そういう問題が新たに発生してくる。憲法の改正の問題にも繋がってくるし、国会の中でも、小泉さんは是非やりたいとおっしゃっておりますけれども、集団的自衛権を憲法上認めるという話は、もうちょっと時間がかかるんじゃないか。その辺のギャップがNMDとTMDの話の中で、発生してるんじゃないか、この辺の解説をしてもらうとありがたいですね。

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