←前のページへ
本・エッセイトップへ
次のページへ→
- 10 -


〜米中関係の悪化と日本〜
最後に私から見れば、今、米中関係はますます悪くなる可能性があります。歯止めが全然見えないのです。今のところ日中関係もあまり良くないと思います。日本の大多数の方々は中国と普通の関係を保ちたい、敵に回したくないという考えだと思います。もしアメリカが徐々に寛容政策から封じ込め政策に漂流するようになりますと、日本が一番困った状態におかされると思います。日本としては、中国かアメリカという選択肢だけは避けたいと思います。できるだけアメリカとの同盟を重視しながら、中国と友好関係を結ぶというのがベストだと思います。しかし、米中関係がますます悪くなりますと、日本がそういう厳しい選択をとらなければいけない状態になるかもしれません。ですから、知日派が揃ったから安心できるということでなくて、できるだけ早くアメリカと踏み込んだ戦略対話が必要だと思います。単なる抽象的な対話でなくて、具体的にどうやって北朝鮮との政策をコーディネイトできるか、どうやって中国との関係を安定させるか、非常に重要な問題がありますので、アメリカと踏み込んだ戦略対話をできるだけ早く開始しなければいけないと思います。長い間ご清聴ありがとうございました。

マイク望月先生(M)と船田元(F)によるディスカッション

:どうもありがとうございました。マイクがこんなに日本語が上手いとは思いませんでして、1時間近く全部日本語でやったというのは、私も初めて聞かせて頂きまして、たいへん感激致しました。また、みなさんも、この時間ほとんど飽きるということがなかったと思いますけども、クリントン政権との比較において、ブッシュ政権として日本、それから中国、北朝鮮とどういう対応をとっていくのか、非常にホットな話を、とても分かりやすく話して頂きまして、私もだいぶ頭の中が整理されました。もう少し時間がございますので、少し議論を深めていければと思っております。また、時間があれば、会場の皆様からも「ここを聞きたい」ことがありましたら、どうぞ後ほどご遠慮なく手を挙げてご質問頂ければと思っております。
 最初に、ブッシュ政権の中での知日派が、非常に増えたとご指摘ありまして、私もこれは日本のためにブッシュ政権ができたのかなと、錯覚するくらいの感じです。先程のアーミテ−ジさん、この方は海軍においても重要な地位を占める方です。みなさん“ランボー”という映画を昔観たかと思いますが、ベトナム戦争の頃、べトコンにアメリカの兵隊が捕まり幽閉された。それを決死の覚悟で海兵隊のチームで、助けに行こう、こういう勇ましい映画があったのですが、そのモデルとなったのがアーミテージさんでした。映画ですから多少、誇張したところはあるかと思いますが、アーミテ−ジさんが海軍にいた頃に、当時の武勇伝として、あれに近いことを現実にやった男でした。私も何回かアーミテージさんにお会いをしてますが、ほんとに胸が、我々2人の胸を合わせた以上の凄い胸でして、マッチョな人間ですが、日本に対しては、とても親近感を持ち、本当に日本の将来を心配してくれている、たいへん得がたい人間であります。そういう大事な人をなんで外務大臣がそでにしたのかな?と今でも考えると残念でありますが、このことが国益を損なうことにならないように、きちんとフォローしていくべきです。それからもう1人、NSCの日本部長にあたるパターソンさん、この方もマイクほどではありませんが、日本語がある程度分かります。筑波大学に留学を2年間しておりました。当時、海軍の現役でありながら、筑波大学に留学したい、こういう話があったもんですから、なんとか筑波大学にお願いをして、留学を実現させることができました。彼がまさにNSCの中核に入ったということで大変うれしく思っているところです。ただ先程、マイクがおっしゃったように、あまりにも知日派が多すぎて、逆に日本に対する防衛政策、あるいは日米同盟関係をもっと強化して欲しい、というブッシュ政権の思い込みが強く、それがなかなか将来うまくいかない時には、これが幻滅に変わっていくのではないか。そのへんを恐れております。さらには、知日派のみなさんは、日本の強いところも分かっていれば、弱いところも分かっている。だから対日政策は、逆に強くでてくるんじゃないか。こういう懸念が私には、ありますけれど、そのへんについて、もうちょっとお考えがあれば、お聞かせ願いたいと思っているんです。

←前のページへ
本・エッセイトップへ
次のページへ→

このページのトップへ


HOME今後の予定はじめのOpinion政策提言本・エッセイはじめ倶楽部経歴趣味Linkはじめに一言

Copyright(c)1996-2003 Hajime Funada. All rights reserved.