←前のページへ
本・エッセイトップへ
次のページへ→
- 7 -


〜con-gagement政策は中国を追いやらない〜
しかし、共和党の穏健派たちはcon‐gagement政策をとっても、米中の間では決裂を避けることができると確信をもっております。なぜそういう確信をもっているかとすれば、2つの理由を共和党の人たちは挙げます。1つの理由は、どれだけ中国と戦略的な競争相手としてみても、アメリカは中国が引いたred line(赤線)を越えないという、慎重な対応するということ。具体例を挙げるとすれば、この間、問題になっていたイージス・レーダー・システムを台湾に売るか売らないかということで、中国側は絶対に台湾に与えてはいけないとする赤線を引いたわけです。穏健派の人たちは、台湾に売ってはいけないというような政策をとっています。そういう意味で、赤線を守るということ。もう1つの例とすれば、今まで米中関係の枠組みとなっている、「一つの中国」という概念、それを今まで通り継承するということです。そういう意味で、ある程度中国の考え方を取り入れる。そしてもう1つ、なぜcon‐gagement政策をとっても、米中関係が決裂に結びつかないかとすれば、それは中国の経済的なキャピレーションを考えて、どれだけ中国がアメリカのcon‐gagement政策に対して批判していても、中国の経済発展のためには、どうしてもアメリカとの付き合いが必要である。どれだけアメリカが凄い政策をとっても、最終的には中国はアメリカとの軍事的衝突を避ける。それが第2の理由。こういう2つの考え方で、どれだけcon‐gagement政策が中国側で、containmentというように解釈されても、米中関係は決裂に終わらない。そういうような考え方です。こういうcon‐gagementあるいは限定的なengagement policyを反対する人たちは、ブッシュ政権の中で、国務長官コーリン・パウエルとか国家安全保障大統領補佐官コンドリーサ・ライスです。しかし、クリントン政権の2期目の外交チームの寛容政策と比べたら、もっと厳しい政策だと思います。クリントン政権の時は、包括的engagement policy、こういう穏健派の人たちは限定的engagement policyを反対しております。

〜強硬派の封じ込め政策〜
しかし、共和党の中では、みんなこういう穏健派ではないと思います。他方では、寛容政策を全面的に批判して、はっきりと封じ込め政策に転換すべきという共和党の人たちは結構おります。こういう人たちは、中国と貿易を深めたら中国の経済が凄くなってきて、経済が凄くなってきたら中国がその経済力を使って、軍事大国になるということは、はっきりみえるということです。もうすでに中国の軍事予算は、早いペースで増加されております。そして、経済発展によって中国の政治が自由化するということは非常に甘い考え方である。経済交流を深めると、おとなしい中国がでてくるというよりも、もっと強烈な中国がでてくるということ。ですから、あんまり中国と深い関係をしないほうがいい、封じ込め政策をとるべきだと言っております。こういう人たちは、中国が引いている赤線を越えた政策をとるべきと言ってます。例えば、台湾に対する武器売却政策においては、イージス・システムを売るべきと強調しております。そして、中国との貿易関係をできるだけ制限する。WTOの加盟問題でも、できるだけ厳しい条件を付けて、中国がもしそれらの条件をコミットしないということだったら、入らなくてもいいという強硬な姿勢をとってます。そして、封じ込め政策を主張している人たちは、日本と韓国も含めて、中国の近隣諸国を、中国を封じ込めるための1つの連携をつくるべきというcontainment policyを強調しております。現在ブッシュ政権の中で、はっきりとcontainment policyを主張している人は、1人もおりません。しかし、国防長官であるラムズフェルドとか国防副長官であるウェルフヴィッツは、こういう強硬派的な考え方に非常に影響されております。

←前のページへ
本・エッセイトップへ
次のページへ→

このページのトップへ


HOME今後の予定はじめのOpinion政策提言本・エッセイはじめ倶楽部経歴趣味Linkはじめに一言

Copyright(c)1996-2003 Hajime Funada. All rights reserved.