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〜穏健派の限定的Engagement政策〜
今、共和党政権を見ますといろいろな考え方がありますが、簡単に分けるとすれば、2つの考え方があると思います。1つの考え方は、わりと穏健な政策を考えている人たち。そしてもう一つは、もっと強硬な政策をとるべきというグループです。この穏健な政策をとるべきという人たちは、クリントン政権が目指していた寛容政策、engagement政策をできるだけ継続すること。しかし、クリントン政権のengagement政策は、包括的な寛容政策だったと思います。共和党政権では、もうちょっと限定的なengagement policy、英語で言えばlimited engagement、とか条件付のengagement policyです。limited engagementとはどういうことかと言えば、1つは中国と貿易関係を深めて対中直接投資を拡大すれば、アメリカの経済的な利益になる。それはクリントン政権と同じだと思います。そして最終的に、中国の政治コントロールの自由化に繋がる期待があるわけです。さらに中国をWTOに加盟させて、グローバル経済システムにいれたら、中国との関係がもっと安定する。そういうような考えがあります。これはクリントン政権と同じことだと思います。しかし、共和党の穏健派の人たちは、経済の相互依存によって、中国の政治的な自由化の可能性もあるのだけど、政府の統制力が低くなるのじゃないか、そういうことも想定しなければいけない。そういうことになれば、中国の国内事情が非常に不安定になってきて、中国政府は過剰反応的な、軍事的な措置で統治力を発揮しようという、そういう傾向があるのではないかと心配がある訳です。国内の動乱が起きるようになって、それで人民解放軍を使って弾圧政策をとるときには、必然的に対外の政策にも影響を与えるということで、ですから共和党の穏健派グループは、アメリカと軍事的な衝突にならなくても中国の指導者は多分、台湾に対して政治的、また軍事的圧力を増加させる危険性が充分ある。そういうような認識でございます。

〜con-gagement政策とは〜
ですから、単なる中国と経済関係を深めることだけでなくて、万が一中国が非常にaggressiveな政策をとるようになりますと、hedgeをしなければいけないです。中国が軍事的な政治的な圧力を増加するようになりますと、それに対するhedge strategyが必要である。そのhedgeするために、どういう具体的な政策をとるべきかと言えば、大体3つの政策を挙げております。1つは、台湾に対して武器供与を拡大させる。第二は、できるだけ早く包括的なミサイル防衛システムを開発して、導入するということ。そして第3は、日本と韓国との同盟関係を強化すべき。これが3つの具体策です。でも、ある人によりますと、この戦略は単なるengagementでなくて、con‐gagementという言葉を使っております。con‐gagementという言葉は、造語で、辞書を開いても全然載っていませんが、どういうことかと言えば、寛容政策といっていて、中国がすごく横柄にでてきたら、封じ込め政策に切り替える。containmentとengagementが合わさってcon‐gagement政策になります。中国政府からみれば、con‐gagement政策は、containment政策にみえると思います。これはもう封じ込め政策であるとすごく批判すると思います。

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