司会者―
それではお待たせ致しました。早速講義へ移らせて頂きます。
本日はマイク望月先生をお迎え致しまして、今後の日米同盟関係のご講義を頂くことになっております。講義に先立ちましてここで簡単にマイク先生のプロフィールを紹介させて頂きます。皆様のお手元の資料もございますが、先生は金沢市でお生まれになりその後渡米されブラウン大学卒業後、東京大学法学部に留学されましてその後ハーバード大学大学院におきまして政治学の博士を取得されました。その後アメリカ有数のシンクタンクでございますブルックリン研究所等を経て現在ジョージワシントン大学の教授をされております。日本の政治、日米関係、東アジア安全保障の専門家と致しまして主にアメリカにおいてご活躍中でございます。
それでは先生宜しくお願い致します。
マイク望月先生講義―
こんばんは。紹介して頂いたマイク 望月でございます。船田先生と初めて出会ったのは10年前になりますが、ちょうど冷戦終結で激動の時だったのですが、その時、私は度々日本に来て、いつでも船田先生の事務所に行って、日本の政治状況、また日本から見た世界の意見交換をする機会がありまして、いろいろ勉強になりました。そして、アメリカでも船田先生を非常に期待している方々が多くて、これから日本が激動の世の中で指導力を発揮するために、船田先生みたいな政治指導者が、日本にとって非常に大切にして、活躍することを皆様期待しております。ですから、船田先生の元政会の講演会で、講師として呼ばれるということは、非常に光栄に思っております。話を進める前に、私の日本語力はまだ不十分でございますので、聞きづらい日本語だと思いますが、今日、精一杯日本語で話を進めたいと思います。
今日のテーマとして、ブッシュ新政権の東アジア政策はどういう政策になるかという問題意識で、そしてまた、東アジア政策について日本にどういう影響を与えるかということを分析したいと思います。
ブッシュ政権が発足してから3ヶ月ちょっとしか経ってませんので、具体的にどういう政策をとるかということを分析するのには、ちょっと早いかも知れません。しかし、100日経たないとブッシュ政権の政策が見えないということだったら、世の中は先に先にと進んでますので、政策がはっきりしてなくても分析する必要があると思います。
〜大統領選における現政策批判〜
政治学者として、新政権の外交政策がどういうものかということを考えるときに、一つの方法論は大統領選の時に、大統領候補だったジョージ.W.ブッシュの発言をよく読んで、そして、どういう外交についての演説をしたかということを分析することが、一つの方法でございます。しかし、それだけでは不十分だと思います。それはどうしてかと言えば、アメリカの大統領選で、最近非常に悪い慣習があります。どういう慣習かと言えば、野党から出てくる大統領候補者は、できるだけ現職大統領とは対照的な外交政策の案を出すという選挙戦の一つの戦術です。現職の政権の外交政策を全面否定するということで、できるだけ現職の政権と次の政権との違いを明確にしようという、そういうような政治戦術が最近行われております。これは、米国の外交政策全体だけでなくて、最近、特に対東アジア政策の議論の中でも象徴されていると思います。1992年の大統領選挙の時、初代ブッシュ大統領と戦うクリントンは、できるだけ初代ブッシュ政権の政策を徹底的に批判しておりました。例えば、ブッシュ政権は天安門事件の後、中国の独裁政権をあまやかしているということで批判しました。クリントン知事がもし大統領になったら人権と貿易を結びつけて、中国に対して強硬な姿勢をとる。そういうことを選挙戦で宣言しておりました。そして、対日政策でもクリントン知事は、ブッシュ政権の対日政策は非常に甘くて、もっと積極的に日本の市場開放をしなければいけないということを強調しておりました。ですから、結果を重視する対日政策をとるべきであると言っていました。そういう考え方で、ブッシュ政権の対日政策を全面的に批判しました。