最後の議題に移って行きたいと思います。日本再生についてのこれから先の中期的な政策について、いくつか申し上げたいと思います。1つは社会保障です。これから相当厳しい状態になります。特に大きな影響を与えるのが日本の人口です。特殊合計出生率が1.33を固定しますと、統計上では2008年に日本の人口は1億2500万人で静止人口になる。2009年以降は日本の人口が戦後始めて減り始めるということになります。人口が減るということは、都市部ではすぐに影響は出ませんが農村部ではすぐにでてまいります。それからこの状態がさらに続きますと、例えば50年後の2053年には、9800万人前後、そして2100年には8000万人前後ということで、非常に速いスピードで人口の減少が起こります。650年後に日本人は世界中でたった一人だということに計算上はなります。実際にはそんなことはないはずですが、その位にこの1.33というのは大変な数字なのです。こういう少子化それから出生率の低下を何としても食い止めなければと、さまざまな手を尽くして政府はやっておりますけれども、なかなか功を奏さないところがあります。当面は、我々の老後を当面は考えていかなければいけません。これからどんどん65歳以上のお年寄りがどんどんこれからは増えてまいります。65歳以下15歳以上つまり生産年齢人口の割合、これがどんどん減り続けるこういう状況にあります。そうしますと、まず影響を受けるのは年金、そして医療制度でございます。今の年金制度をそのまま続けてまいりますと2030年、今から25年後位には超高齢化社会がピークを迎えるいくつかの年金制度は破綻する、つまり我々が年金貰いたいと思って待っていてもくれない状況になります。これはかなり確実な状況だといわれております。ですから今のうちから、公的年金の破綻をどうすれば防げるかという事をもっと政治家がはっきり国民の皆さんに訴え、ともに痛みを分かち合わなければいけませんよという事を言わなきゃいけないんです。説明責任をなかなか現役の政治家の皆さんは果たそうとしていない。大変残念なことです。ではどうすればいいのか、まず開始支給年齢というのがあります。60歳を超えたら公的年金が貰える状態が今ですが、これはもうすでに法律の改正をしております。現在では61歳になったら年金が貰いはじめる、それが数年後には62歳から、また数年後には63歳から、最終的には65歳から年金が貰えますよという事になります。いろいろ計算をしますと場合によっては70歳近くなってようやく年金が貰える状況にしないと難しいという計算もあります。でもこれは年金の支給開始年齢だけをいじくる場合の話です。別な部分で負担増をお願いすることで、支給開始年齢を65歳にフィックスすることは不可能ではないと思います。例えば、保険料をもう少し上げさせてもらえないだろうかということ。あるいは、基礎年金部分には現在国の補助が3分の1出ておりますが、これをまもなく、2分の1まで負担する予定です。さらに年金制度も一本にまとめることが出来れば、もう少し延命措置は図れると思います。
最後の項目に移りたいと思っております。それは、教育の問題であります。今の、学校教育は、非常に悪い状態になってきてしまいました。何が悪いかというと、1つは、学力が確実に落ちているという状況にあります。それから、不登校気味の子供達も含めて不登校の状態になった子供達が非常に今増えているということです。高校は義務教育ではありませんので不登校という形になった場合にはこれは自主的に退学をするとか休学をせざることで扱うわけですが、その数がうなぎのぼりになっております。10年前と比べて少なくとも、倍になっております。場合によっては3倍以上になっている所もあると思っています。それからやはり小中高校生、特に中学生のいわゆる問題行動ですね、シンナーなどの薬物中毒というのも非常に今増えてしまっている。この状態をどうすれば解消できるのか、是非全国の学校教育においてやってもらわなければいけないことがいくつかあります。1つは学校週5日制という制度は非常に問題があります。もう一度戻すべきだと思います。戻すというのは、隔週、土曜日休みに戻して欲しいという事です。授業時間数が減るという事は確実に学力の低下につながります。また、土曜日の授業時間を平日に上乗せをして平日の授業時間が7時間というのを2日も3日もやらなければいけません。そうすると、子供達はヘトヘトになります。先生の側もかなり疲れます。そういう状況では子供達にゆとりを持たせようといってもそれは無理な話。土曜日休みだから子供達喜んでいるかというと、決して喜んではおりません。平日にもうちょっと余裕を持って、子供達が勉学にもそして部活動にも専念できる、そういう状態こそ私はゆとりある教育だと思います。それから学習指導要領の改訂が併せてございました。これまでの小学校中学校高校で教える内容の4分の1は削られております。教科書を見てもらうと、多分薄くなっておりますのでお分かりになると思いますけれども、当然教える内容が減ってきている。あまり必要のない内容は減らそうという事で、減らしているはずですけれども、どうも学校で教えていた方がいいのではないかというようなものまで削られている。10年に1回しか学習指導要領は変えられないんです、これは教科書がそれに基づいて作られまして、教科書の作成そして検定。採択ということがあって定着をします。そういうサイクルを考えると大体10年に1回位ずつしか教科書は変えられない。ついこの間、もうちょっと早めに学習指導要領を見直す必要があると考えています。
それから、2番目に各学校にお願いしたい事、それは先生方の評価をちゃんとやって欲しいという事です。学校の先生は、それぞれのクラスの担任は、その教室においてはまさに王様です。誰からも干渉されない、誰からも問題を指摘されない、そういう状況で戦後の学校教育は行われてきました。勿論、非常に出来る先生や指導力のある先生はそれでも良かった、むしろその方が先生がバリバリと教育をして、その中から優秀な人材が生まれ再生産されていったケースもあります。しかし、もし、問題のある先生に担任されたらこれはもうアウトですね。勿論、これは個人差があるから一概には言えませんけれども、やはりそういう現状をなんとしても、制度上システム上で改善をする、そのためにはやはり教員の評価をきちんとやるべきです。しかも、当事者の評価ではなくて第三者に評価をしてもらうできです。無能な、あるいは能力の少ない教員は学校の現場から離れる、教員を辞めてもらう、そういう制度もきちんと確立する必要があると思っています。
それから、3番目にお願いしたいこと、それは大人の皆さんが学校にすべてお任せというのはやめて欲しいということですね。もっと学校に関心を持ってもらいたい、自分の子供がこの学校に行っている、親という立場で関心を持つ、これは勿論あると思います。しかしながら、もうちょっと少し、学校そのものとのっぴきならない関係ではない大人達がどんどん関与するという事が必要だと思います。それが学校評議会という考え方でございます。その地域、市町村立であればその市立小学校、市立中学校の学区の中のPTA会長さんがいてもいいです、それから自治会の会長さんがいてもいいです、あるいは消防団の団長さんがいてもいいです。あるいは有識者の方、一般のサラリーマンでもいいです。そういう方々にやはり今私たちの故郷の自分が住んでいる地域の学校教育で何が行われ、何が問題として発生をし、どうすれば解決できるか、あるいは外部に対して助けを求めているのかという事を把握をして、「じゃあ俺達が地域全体であんたの学校を守ってやろうじゃないか」とか、「あんたの学校の問題を解決しようじゃないか。あんたの学校の運動会で我々町内会も参加してやってやろうじゃないか。」というような地域参加型の学校を模索をしなければいけないと思っているんです。学校教育というものを今までは学校長、教員免許を持った学校の先生だけが、その狭い範囲の中で物事を解決しようとしている。いじめの問題だって、これは親を呼び出して「何とかしてくださいよ、あの子供さんをいじめないようにしてくださいよ」と言ったってなかなか学校の先生では限界があります。それを近所の町内会長さんが出てきて親に話をしてもらう。そういうことがあればもうちょっと別な展開があると思います。別な解決の方法もあると思います。実はアメリカのいくつかの地域ではこのことが昔から実は行われております。これは自然発生的でございます。なぜならば、アメリカの開拓時代、開拓者がどんどんフロンティアを作っていきました。まず作ったのが教会です。そして同時に学校も作りました。開拓者たちがお金を出し合い、そして労力を提供して学校を作る。学校の運営についてもこれは人任せにしないで、出資者が自分達で面倒を見ながら作っていく。先生は自分たちのお金で教えられる人を雇っていく。こういう事をやっておりました。そういうよき伝統が今のアメリカの公立の小中学校に残っております。そしてそれをやや理想的な形で現代風にアレンジしたのがチャータースクールです。いきなり、日本においてチャータースクール制度を実現するのは難しいことかもしれません。でも、今出来る事は地域にある市町村立の学校、県立の高校でもいいんですけれども我々が住んでいる地域の公立学校で何が行われているのか、今までは非常に閉鎖的でありました。しかし、これからどんどん地域に開放していく、あるいは地域の皆さんにどんどん意見を頂くような組織も出来つつありますので、そういった制度をもっともっと進めていかないと今の教育、特に学校教育の問題はなかなか解決できないと思っております。そういう事で教育の質を高めていかないと日本の10年後20年後、あるいは30年後の将来ますます悪い状況になってしまうんだろうなという懸念がございますので、ここはもう一度教育の原点に立ち返っていく必要があると考えています。
だいぶ時間も経過をいたしました。最初、イラク戦争の問題、経済危機の乗り切りについての私なりの1つの処方箋の事、そして日本再生についていわゆる社会保障の問題点そして教育の改革についての方向性についてお話をいたしました。またまだ言い足りないことがいっぱいあるのですけれども、この辺で終了と致したいと思いますが、もし何かご質問、あるいはご意見等ございましたならば皆様からお寄せ頂けたらありがたいと思います。
つたない話でしたがどうもありがとうございました。